10月2日、大分県玖珠町(くすまち)と台湾の彰化市が「友好交流協定」を締結しました。宿利政和(しゅくり・まさかず)町長と林世賢市長による調印式はリモートで行われ、大野元秀・玖珠町議会議長や玖珠町長をつとめたこともある衛藤征士郎・衆議院議員(衛藤陽平・秘書が代理出席)が立ち会った他、謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表や陳銘俊・台北駐福岡弁事処長などもリートで立ち会ったそうです。
玖珠町の久大(きゅうだい)本線豊後森(ぶんごもり)駅には蒸気機関車の方向を転換する扇形(せんけい)機関庫や転車台が設置されていましたが、ディーゼル機関車などへの移行が進んだため1971年に廃止されたそうです。
しかし、その後、地元有志によって保存運動が行われ、2012年8月に扇形機関庫は「旧豊後森機関庫」、転車台は「旧豊後森機関庫転車台」として国の登録有形文化財に登録されました。
ちなみに、扇形機関庫と転車台は、日本では旧会津若松機関区や京都府の旧梅小路機関区(梅小路蒸気機関車館)など12ヵ所に残っていて、「旧豊後森機関庫」と「旧豊後森機関庫転車台」は九州で唯一残る扇形機関庫と転車台だそうです。
一方、台湾の彰化市にも台湾で唯一残る日本時代に造られた扇形機関庫と転車台があり、なんとこちらは現役です。すでに彰化県の県定古蹟となり、台湾十大土木史蹟にも選定され、近々、国定古蹟になるそうです。
2019年12月6日、旧豊後森機関庫を所有する玖珠町と彰化扇形庫を管理・運営する台湾鉄路管理局は「姉妹友好」を提携しており、このときも謝長廷代表が立ち会っています。
このような交流の前段があり、折しも1922年(大正11年)に建てられた彰化扇形庫は今年で設置100年を迎え、それを記念して今回の玖珠町と彰化市の「友好交流協定」が結ばれたそうです。下記に中央通信社の記事をご紹介します。
それにしても、今年は7月11日に千葉県銚子市と桃園市が「友好交流協定」を結んで以来、今回の玖珠町と彰化市の「友好交流協定」ですでに8件目となっています。本会の調査では2014年と2015年がやはり8件の提携がありましたので、日台の都市間提携はコロナ禍前のレベルに戻ったようです。
また、玖珠町と彰化市の「友好交流協定」は、1979年10月の青森県大間町と雲林県虎尾鎮の「姉妹町」提携から111件目(本会調査)となります。
彰化市、大分県玖珠町と友好交流協定締結 扇形庫のつながりで
【中央通信社:2022年11月3日】
中部・彰化市は2日、扇形庫のつながりで大分県玖珠町と友好交流協定を結んだ。林世賢(りんせけん)彰化市長は、協定締結を通じて、鉄道文化観光や経済、スポーツ、学校などの分野での交流を拡大させたい考えを示した。
彰化市は台湾で現存する唯一の扇形庫「彰化扇形車庫」を有し、玖珠町には九州で唯一残る扇形機関庫である「旧豊後森機関庫」がある。友好交流協定は、日本統治時代に造られた彰化扇形車庫が今年で設置から100年を迎えるのを記念して締結された。2019年12月には、台湾鉄路管理局(台鉄)と玖珠町の間での扇形庫を縁とした姉妹友好が結ばれている。
調印式はリモート形式で行われ、林市長と玖珠町の宿利政和町長が協定書に調印した。台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表(大使に相当)や大野元秀玖珠町議会議長らも立ち会った。
林市長は、彰化市には扇形車庫や彰化大仏や寺廟、古跡などの観光名所があると紹介。それだけでなく、実際に市を訪れて彰化の鉄道風情やグルメを楽しんでほしいと宿利町長らの来訪を呼び掛けた。