10月22日、砥部(とべ)ブルーと呼ばれる独特の藍色が特色の砥部焼で知られる愛媛県砥部町は、台湾初の陶磁器専門博物館の鶯歌陶瓷博物館がある、陶器の町として知られる新北市の鶯歌(いんごう)区と「交流促進に関する覚書」を締結した。
砥部焼は明治の中頃から台湾でも販売され、100年ほど前に砥部焼の絵付け技術を台湾に伝え、台湾陶磁器の技術向上にも大きく寄与していたという。
近年になり、2017年12月20日に松山南高校と台北市立建国高級中学が姉妹校を提携し、同日、同校は新北市立鶯歌高級工商職業学校とも姉妹校を締結している。双方の交流はほぼ毎年行われているという。2023年5月12日には、砥部焼の陶工やデザイナーを養成するデザイン科のみの高校の松山南高校砥部分校と新北市立鶯歌高級工商職業学校が「姉妹校協力覚書」を結んだ。
このような学校交流を背景に、砥部町はコロナ禍の2021年12月から台湾と砥部焼の絵付けを体験するオンライン教室を実施して大きく交流がひろまり、鶯歌区との提携を望む声が議会からも起こり今般の覚書締結に至っている。
台湾と日本の自治体交流は、国交のない日台関係の基(もとい)を固める礎(いしずえ)となっている。姉妹都市や友好交流都市などの都市間提携に至るには相応の時間がかかる。やはり「天の時、地の利、人の和」が備わらなければ提携には至らない。
砥部町と新北市の鶯歌区の覚書締結がそれを示している。高校生の活動が先導したという点でも将来性のある提携と言えそうだ。
心から祝意を表し、下記に愛媛県の地元の「あいテレビ」の映像ニュースをご紹介したい。
今回の愛媛県砥部町と新北市鶯歌区との「交流促進に関する覚書」締結は、10月16日の愛媛県松山市と台北市の「友好交流都市協定」に続く日台の都市間提携で、今年15件目。1979年10月の青森県大間町と雲林県虎尾鎮の「姉妹町」締結からは145件目(本会調査)となる。今年に入って新たに結ばれた15件は下記の通り。
1)1月22日 鹿児島県と屏東県が「青少年や芸術・文化、観光、経済などの分野で交流を促進するMOU」を締結
2)1月31日 鹿児島県伊佐市と台湾の花蓮市が「友好交流協定」を締結
3)2月27日 熊本市と高雄市が「スタートアップ関連での交流促進覚書」を締結
4)2月27日 熊本県小国町と台北市士林区が「友好交流協力に関する覚書」を締結
5)4月15日 熊本県上天草市と新北市瑞芳区が「友好交流協定」締結
6)4月29日 長崎県平戸市と台南市が「友好交流協定」を締結
7)5月06日 茨城県那珂市と台南市が「友好交流協定」を締結
8)6月20日 北海道雨竜郡沼田町と花蓮県瑞穂郷が「友好交流協定」を締結
9)6月26日 大分県九重町と花蓮県豊浜郷が「連携・協力に関する覚書」を締結
10)8月19日 北海道茅部郡森町と彰化市が「友好交流協定」を締結
11)8月28日 北海道富良野市と台南市が「友好交流協定」を締結
12)10月1日 北海道美唄市と花蓮県富里郷が「友好交流協定」を締結
13)10月5日 秋田県秋田市と台南市が「交流協力に関する合意書」を締結
14)10月11日 愛媛県松山市と台北市が「友好交流都市協定」を締結
15)10月22日 愛媛県砥部町と新北市鶯歌区が「交流促進に関する覚書」締結
砥部焼と鶯歌焼で交流促進へ
陶器生産が盛んな台湾の新北市鶯歌区と愛媛県砥部町が覚書締結
【あいテレビ:2024年10月22日】
砥部焼の産地として知られる愛媛県砥部町が、同じく陶器の生産が盛んな台湾・新北(しんぺい)市の鶯歌(いんごう)区と、交流促進に関する覚書を結びました。
鶯歌区役所で開かれた締結式では、砥部町の佐川秀紀町長と曾明華区長が署名をした後、覚書を記念して作られた皿に中村知事ら出席者がサインをして交換しました。
佐川秀紀町長
「こんなに歓迎してもらえるのは初めて、これから文化交流ということで砥部と鶯歌の磁器の交流を観光交流につなげられれば」
台湾・新北市の鶯歌区は、200年ほど前から「鶯歌焼」と呼ばれる陶器の生産が盛んで、同じく焼き物の里である砥部町とは、3年前から交流を開始。
これまで砥部焼販売組合が中心となり、オンラインで絵付けを教え合うイベントなどを実施してきましたが、今回の覚書に基づき、双方の高校生同士のイベントを計画するなど、さらなる交流促進が図られるということです。