11月22日、茨城県水戸市と台南市が「友好交流都市」を締結した。台南市政府永華市政センターで行われた調印式には、高橋靖(たかはし・やすし)戸市長と黄偉哲・市長が臨んだ。

水戸市からは、大津亮一・水戸市議会議長をはじめ、市議会の代表メンバーや市民からなる70名の使節団が立ち会った。

水戸市によれば「台南市とは,本市出身の故杉浦茂峰(すぎうら しげみね)氏が,飛虎将軍として長年にわたり手厚くおまつりいただいていることを御縁に,こどもたちのスポーツを通した相互交流など,市民レベルの交流が進められ」てきたという。

黄偉哲市長は、この締結を記念し、11月21日付けで、故杉浦茂峰氏を祀る飛虎将軍廟がある安南区に新設する道路に「水戸街」と命名したことをサプライズで発表し、水戸市から赴いた使節団を感激させたそうだ。

本会では、日本と台湾による自治体同士による「都市間提携」について知り得る限り伝えて来ている。本会関係者のなかには「またか」と思われる方もいるかもしれないが、しつこく伝えているのは、日台の交流深化を計るバロメーターと考えられるからだ。

また、都市間提携を結ぶためにはほとんどが1年以上の交流を続け、中には数年を要するケースもあり、自治体ばかりでなく民間の人々も加わっていることが多く、その努力を顕彰したいためでもある。

日台間には企業間提携はもちろん、学校や鉄道、銀行、議会、湖、山、神社と廟、温泉、動物園、博物館、水族館、弁護士会、教育委員会、ゴルフ場、自転車道、マラソン、空港、郵便局など、あらゆる分野で提携関係が進んでいる。

中でも自治体提携は、自治体や議会、民間など多くの人が関り、双方の往来も定期化し、提携を主導した首長が交代しても提携関係を持続することが多いという特徴がある。バロメーターとなる理由だ。

この提携で、1979年10月の青森県大間町と雲林県虎尾鎮の「姉妹町」締結からは150件(本会調査)となり、今年に入って新たに結ばれた提携数も20件となった。

1979年からこれまで年間提携数でもっとも多かったのは2017年の22件で、次が昨年(2023年)の19件だったから、ついに今年は昨年を抜いて日台の都市間提携史上、第2位に浮上した。今年はまだ11月。史上最多となる可能性が出てきた。

1)1月22日 鹿児島県と屏東県が「青少年や芸術・文化、観光、経済などの分野で交流を促進するMOU」を締結
2)1月31日 鹿児島県伊佐市と台湾の花蓮市が「友好交流協定」を締結
3)2月27日 熊本市と高雄市が「スタートアップ関連での交流促進覚書」を締結
4)2月27日 熊本県小国町と台北市士林区が「友好交流協力に関する覚書」を締結
5)4月15日 熊本県上天草市と新北市瑞芳区が「友好交流協定」締結
6)4月29日 長崎県平戸市と台南市が「友好交流協定」を締結
7)5月06日 茨城県那珂市と台南市が「友好交流協定」を締結
8)6月20日 北海道雨竜郡沼田町と花蓮県瑞穂郷が「友好交流協定」を締結
9)6月26日 大分県九重町と花蓮県豊浜郷が「連携・協力に関する覚書」を締結
10)8月19日 北海道茅部郡森町と彰化市が「友好交流協定」を締結
11)8月28日 北海道富良野市と台南市が「友好交流協定」を締結
12)10月1日 北海道美唄市と花蓮県富里郷が「友好交流協定」を締結
13)10月5日 秋田県秋田市と台南市が「交流協力に関する合意書」を締結
14)10月11日 愛媛県松山市と台北市が「友好交流都市協定」を締結
15)10月18日 茨城県小美玉市と新北市淡水区が「友好交流覚書」を締結
16)10月22日 愛媛県砥部町と新北市鶯歌区が「交流促進に関する覚書」締結
17)11月06日 沖縄県宮古島市と屏東県牡丹郷が「交流協定に関する覚書」を締結
18)11月13日 和歌山県和歌山市と高雄市が「交流促進に関する覚書」を締結
19)11月15日 北海道の利尻富士町と利尻町が屏東県琉球郷と「友好協定」を締結
20)11月22日 茨城県水戸市と台南市が「友好交流都市」を締結

下記に水戸市と台南市の「友好交流都市」締結を伝える台南市「市府新聞」と水戸市ホームページ、飛虎将軍廟の日本語ページ、そして中央通信社の記事をご紹介したい。

◆台南市與日本水戸市締結友誼市 台南新設街道將以水戸命名[市府新聞:11月22日]

◆台南市と友好交流都市の締結に調印[水戸市HP:11月22日]

◆台湾で神と祀られた日本軍人[飛虎将軍廟HP]


台南市と水戸市、友好交流都市協定を締結  「水戸」冠した道路新設へ

【中央通信社:2024年11月22日】

南部・台南市と茨城県水戸市は22日、同市政府永華市政センターで友好交流都市協定を締結した。高橋靖水戸市長は、国際教育の充実化や観光交流の促進などを進め、台南市との友好関係をさらに深めたいとしている。

台南市には日本統治時代に米軍の襲来を受けて航空機で出撃したものの、撃墜されて戦死した水戸出身の杉浦茂峰兵曹長(死後少尉に特進)を祭る飛虎将軍廟(びょう)があり、その縁で両市の子供たちのスポーツ交流などが続けられてきた。台南市政府は今後、歴史や文化、スポーツなどの分野で交流や協力を進めるとしている。

黄偉哲(こういてつ)台南市長は、今回の協定締結を記念し、市内に新設される道路名を「水戸街」とすることを明らかにした。

高橋市長は、全力で交流を推進すると強調。マンゴーなど台南産農産物の学校給食の食材としての利用拡大や、台南の小学校との交流を通じて、交流の成果を次世代に波及させたいと語った。