<李登輝前総統の訪日受け入れ 政府、来年以降に>
今月下旬に観光目的で訪日したい意向を示しているとされる台湾の李登輝前総統への査証発給問題について、政府は12月に台湾の立法委員選挙(総選挙)が予定されていることから年内は受け入れられないものの、来年以降なら観光目的での訪日を受け入れる方針を固めた。政府関係者が3日、明らかにした。李前総統は平成13年4月に心臓病治療のために来日したが、今回は松尾芭蕉の「奥の細道」ゆかりの地を訪れたいとの希望を示しているという。政府・与党内には「公職を離れて相当たっており、観光ならいいのでは」(自民党首脳)との意見も強かった。その一方、李前総統は台湾団結連盟の精神的なリーダーとされるため「12月の選挙戦に影響を与える可能性がある」(外務省幹部)との懸念もあった。また、中国からはこれまで同様に懸念が伝えられていた。このため、政府は年内はビザを発給しないものの、来年以降は政治的な活動をしないという条件で容認する形で決着を図ることとなった。李前総統は14年11月にも慶応大三田祭での講演のためビザ申請したが、日本政府が発給しない方針を示し、断念した経緯がある。 【9月4日付「産経新聞」1面】