【日経①】台湾出身の在日台僑ら、李登輝前台湾総統を出迎え

台湾の李登輝前総統が来日した27日夜、到着した名古屋空港には台湾出身の在日華僑ら数百人が集まり、「李登輝さん ようこそ日本へ」と書いた横断幕や台湾旗で李氏を出迎えた。

李氏は午後7時過ぎ、空港の国際線ターミナル南側玄関に曽文恵夫人(78)とともに姿を現した。台湾出身の在日華僑らが「万歳」と声をあげると、李氏は帽子を振ってこたえ、頭を下げた。

出迎えた「日本李登輝友の会」の永山英樹事務局次長(43)は「(李氏の)日本語を話す姿を見て、日本人は親近感をおぼえるはず」と話した。

李氏は午後7時半過ぎに名古屋市内のホテルに到着。詰め掛けた報道陣の呼びかけに「謝謝」「ありがとう」と答えた。

【日経②】李登輝前総統3年8ヶ月ぶり来日、中国政府が批判

台湾の李登輝前総統(81)が台北発の日本アジア航空機で27日午後7時前、日本観光のため名古屋空港に到着した。李氏の来日は岡山県倉敷市で心臓病の治療を受けた2001年4月以来、3年8ヶ月ぶり。

名古屋空港では台湾出身の在日華僑ら数百人が李氏の到着を出迎えた。李氏は曽文恵夫人(78)ら家族とともに名古屋市、金沢市、和倉温泉(石川県)、京都市、琵琶湖(滋賀県)を観光、1月2日に関西国際空港から台湾に戻る予定。

李氏を「台湾独立勢力の代表的人物」と批判する中国政府は27日、「中国の再三の反対にもかかわらず、日本が誤った決定をしたことについて強烈な不満を表明する」との声明を発表、李氏に査証(ビザ)を発給した日本政府を改めて批判した。

李氏は日本に向かう機内で中国の批判について記者団に「台湾は中国の領土ではないから(そういうことを言うのは)おかしい」と言及。観光での来日に関し「医療目的に限られた前回より面白い」と語った。

【日経③】李登輝来日「日中影響ない」・細田長官

細田博之官房長官は27日の記者会見で、台湾の李登輝前総統の訪日に伴う日中関係への影響について「特にそういう点は考えていない」と述べた。竹内行夫外務次官は「政治活動を行うことはないという理解に基づき査証(ビザ)を発給した。『台湾の独立を支持することはない』という日本政府の立場が変わらないことに、ぜひ、中国側の理解を得たい」と語った。自民党の武部勤幹事長はラジオ番組で「中国は少し神経質になりすぎている。寛容が大事だ」と指摘した。

【共同通信①】中国、李氏訪日で不満表明 「政治活動」行えば報復措置も

中国は27日、台湾の李登輝前総統の訪日問題について、外務省劉建超副報道局長の談話を通じ「強烈な不満」を表明した上で「事態の行方を見守り、さらなる対応をとる権利を保留する」と述べ、李氏の言動を注視する考えを示した。

談話は李氏が日本で「政治活動」を行わないようくぎを刺す狙いとみられる。

日中関係筋によると、日本政府関係者や自民党有力議員は中国側に対し「李氏が政府要人や党幹部と会談する予定は一切ない」と非公式に説明。また、李氏が親密な森喜朗前首相の地元石川県を訪れることから取りざたされていた森氏との接触についても、森氏側から「あり得ない」と中国側に伝えた。

中国政府としては、まずは「一私人の観光旅行」と説明する日本政府のメンツを立て、実際に李氏の政治活動を日本側が封じ込めるのかどうか「冷静に推移を見守る」(中国外務省筋)考えだ。

ただ、李氏が日本の一部台湾派議員と面会する可能性は否定しきれないと中国側は警戒しており、そうした“政治的接触”が行われた場合は、対日報復措置に踏み切る事態もあり得る。

【東京】3年8ヶ月ぶりに李登輝前総統が来日

台湾の李登輝・前総統(81)が27日夜、台北発の民間機で名古屋空港に到着した。家族や友人とともに名古屋、金沢、京都、琵琶湖などを一週間かけて旅行する。李氏の来日は2000年5月に総統を退任してから2度目で、心臓病治療のため大阪と岡山を訪れた01年4月以来、3年8ヶ月ぶり。中国は李氏を「台湾独立派の頭目」とみなし訪日に強く反対しており、日中関係に影響を及ぼす可能性もある。

李氏は午後7時すぎ、名古屋空港の国際線ターミナルの外に姿を見せた。出迎えた台湾の留学生や居並ぶ報道陣に向かって帽子を取って手を振りながら「謝謝(ありがとう)」と小声であいさつした。民間の日台友好団体や在日の台湾人ら約200人が「台湾旗」と呼ばれる緑と白の旗や日の丸を振って歓迎した。

■「強烈な不満」中国が表明 前台湾総統訪日

台湾の李登輝前総統が観光目的で日本を訪問したことに対し、中国は27日、外務省劉建超副報道局長の談話を通じ「強烈な不満」を表明した上で「事態の行方を見守り、さらなる対応をとる権利を保留する」と述べ、李氏が日本滞在中に政治的な行動を取ることがないかどうか注意深く見守っている。

中国外務省の武大偉次官は日本政府のビザ発給決定後、「李登輝は急進的な台湾独立運動の総代表であり、滞在中に政治的活動を行うことを許さないよう強く求める」と強調している。

【共同通信③】「すっかり変わったね」 李氏、名古屋城に感慨深げ

台湾の李登輝前総統(81)は28日午後、名古屋城や徳川家康の遺品を収蔵する徳川美術館などを見学した。名古屋は学徒出陣で陸軍に入隊し、終戦を迎えたゆかりの地。特に名古屋城は、かつての駐屯地がそばにあっただけに思い出の場所といえる。

名古屋城管理事務所の岡本政広所長から天守閣などが1945年5月の空襲で焼失したことを説明された李氏は「わたしが(当時)来た時はもうなかった」などと曽文恵夫人(78)に紹介。再建された天守閣の展望台に上がり、「見渡す限り高い建物。随分昔と違うなあ」と感慨深げに話した。

しかし周囲は、数十人の警護が付くなど緊張した雰囲気。中国側が滞在中の言動を見守るとくぎを刺し、日本側も報道各社に取材自粛を要請しており、台湾メディアが李氏に声をかけようとしても、警護員が「ノー」と声を荒らげて遮るなど、ピリピリした空気に包まれていた。

【共同通信②】李登輝氏が名古屋城を見学 学徒出陣で駐屯、思い出の地
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名古屋城内を歩く台湾の李登輝前総統夫妻

来日2日目の李登輝・台湾前総統(81)は28日午後、名古屋城を見学した。かつて学徒出陣で駐屯していた思い出の場所で、管理事務所長の説明に地図を見ながら「戦争中に軍が駐在していたのはどこか」と質問。「60年ぶりだからだいぶ変わって分からなくなった」と話していた。

李氏はこの後、徳川家康の遺品を収蔵する徳川美術館を見学する予定。

中国側が「事態を注視し、さらなる対応をとる権利を留保する」(劉建超・外務省副報道局長)と日本側に強くくぎを刺している中での「家族旅行」だけに、李氏が滞在しているホテルなどではピリピリした雰囲気。李氏は午前中は、ホテルで昔の友人と面会するなどして過ごしたという。

一方、一緒に来日している孫娘の李坤儀さん(23)は午前中、ホテルに隣接するデパートのCD店などでショッピング。大勢の警護員などで、売り場は異様な空気に包まれた。

李氏は今後、旧制高校時代の愛読書として挙げている「善の研究」の著者、西田幾多郎などを輩出している石川県や京都市などを訪れる。