7月11日、交流協会台北事務所の池田維代表(駐台湾大使に相当)の後任として就任し、15日に台湾入りした齋藤正樹・新代表は22日、代表挨拶を発表した。
外務省入省後、台湾大学で語学研修したいわゆる「チャイナスクール」出身の齋藤代表は、往時とは様変わりした台北の発展ぶりに「まるで『浦島太郎』のような気分」と述べつつ、日台関係がかつてなく幅広く、深くなっていることや民主主義が定着していることを踏まえ、「日本と台湾とは民主や自由という価値を共有していると言いうるわけですが、共通する価値の下、これまで日台双方の諸先輩方が築いてこられた良好な関係を、更に成熟したものにするために微力を尽くす所存」と、安倍晋三首相以来、外交の基本となっている価値観外交を台湾で推進すると表明している。
すでに本会メールマガジン『日台共栄』などでも何度か略歴はご紹介したが、改めてその「挨拶」とさらに詳しい略歴をご紹介する。
挨拶
この度、日本交流協会台北事務所代表に就任いたしました齋藤です。約40年前、当地で語学研修を行いましたが、再び当地に来ることができましたことを非常に嬉しく思っております。40年前と比べると、自分が知っている台北とは随分様変わりしており、まるで「浦島太郎」のような気分になりますが、その発展ぶりに目を見張るばかりです。
さて、ここ数年間、日台関係は年を追う毎に密接になってきており、人的往来については、日台双方による短期査証免除、運転免許証の相互承認等の措置及び日本の新幹線技術の初の輸出となる台湾高速鉄道の開通による追い風で、ここ数年間は順調に成長しており、昨年一年間で日台間を往来した人々は実に255万人を超えております。留学生の交流も密接であり、台湾に留学する日本人学生、日本に留学する台湾人学生共に増加傾向にあります。また日台貿易額を見ると、輸出入総額では台湾にとって日本は第二位の貿易相手、日本にとって台湾は第四位の貿易相手であり、密接な経済関係も看取することができます。その他、文化交流、青少年交流、技術交流等様々な交流が密接に行われ、今や日台関係はかつてなく幅広く、深くなっております。
本年3月には総統選挙が行われ、5月20日に新政権が発足しました。今回で二度目になる政権交代が平和裏に行われ、当地における民主主義の定着に感銘を受けました。このように、日本と台湾とは民主や自由という価値を共有していると言いうるわけですが、共通する価値の下、これまで日台双方の諸先輩方が築いてこられた良好な関係を、更に成熟したものにするために微力を尽くす所存ですので、皆さまからのご指導とご協力を宜しくお願いいたします
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【齋藤正樹(さいとう まさき)・新代表略歴】昭和18年(1943年)10月13日、広島県生まれ。昭和41年(1966年)、東京大学教養学部卒業後、外務省入省。条約局国際協定課条約審査官、経済局海洋課長、国際連合局経済課長、在香港日本国総領事館領事、在中華人民共和国日本国大使館参事官、在シアトル日本国総領事館総領事、大臣官房領事移住部長、カンボディア大使、ニュージーランド兼サモア大使などを歴任。平成19年(2007年)4月、外務省を退官。平成20年7月11日、財団法人交流協会台北事務所代表に就任。