パズル地球儀“検閲”されてた…老舗ジグソーも台湾島 中国で製造、当局から圧力
教育界を揺るがした学習教材大手「学研」(東京都大田区)や、玩具大手「タカラトミー」(葛飾区)の地球儀から「台湾」が消滅していたことが問題になっているが、老舗玩具メーカーが製造したジグソーパズル版地球儀や、ビーチボール版地球儀からも消えていたことが、16日明らかになった。いずれも中国からの圧力とみられる。
台湾(中華民国)が台湾島に改竄(かいざん)されていたのは、ジグソーパズルやカードゲームで知られる老舗玩具メーカー「やのまん」(台東区)が製造販売した球体パズル「3D地球儀」。従来の平面パズルとは違い、パズルを作っていくと球体ができ上がるというもので、「パズルは平面」という固定観念を打ち破った画期的シリーズとして人気を集めている。
パズルは240、540、960、1500ピースの4種類。価格は2940円-1万5540円と幅広く、日本語版とともに英語版も同時発売している。
問題の「3D地球儀シリーズ」は2003年に同社が開発したもので、「球体パズルの代名詞的存在。累計売り上げについては公表を控えたいが、売れ筋商品のひとつ」(広報)だった。学研報道後、購入した客から指摘があったという。
今回の騒動について、広報は「とんだお年玉を頂いた感じですよ。学研さんの時と事情は同じ。製品の製造を中国で行っており、中国当局の指示に従わざるを得なかった」と説明した。
問題の地球儀は大手玩具店や百貨店に出荷しており、その中の一つである都内玩具量販店も「発売直後から取り扱ってきた。この件に関してはやのまんさんの広報に問い合わせて下さい」と戸惑いを隠せない。
民間信用調査機関・帝国データバンクなどによると、やのまんは1954年に大阪南区で創業。昨年2月期の売上高は1億9000万円で、国内同業種370社中25位につける中堅玩具メーカーだ。当初はヨーロッパからミニカーなどを輸入販売していたが、73年に国産初のジグソーパズルの製造販売を開始。今や国民的娯楽ともなったジグソーパズルを国内に根付かせた立役者として知られる。
同社ではすでに5年間も発売している“実績”があり、地球儀は事実上の主力商品となっている事情もあるため、当初は「今後の対応については、外務省や関係省庁の意見を聞いて判断する」と慎重な構えだった。
しかし、夕刊フジ取材後の15日夜になって、同社ホームページ上で《「台湾島」に相当するピースの個所を「台湾」表記に交換させていただきます。既にお買い求めのお客さまで、ご希望のお客さまには無償にて「台湾」表記のピースをお送りさせていただきます》と公表した。
一方、東京都内の輸入地図販売店が販売している中国製とみられる地球儀模様のビーチボールも、台湾が台湾島と表記されていることが判明。台湾島表記問題は、さらに問題が拡大する可能性が高そうだ。
(2008年1月16日付・夕刊フジ)