21日付の本会メールマガジン『日台共栄』で、片木裕一理事に台湾高速鉄路(台湾版新幹線)の「芳しくない」現況とその原因についての論考を掲載しましたが、当夜、運営母体の台湾高速鉄路会社が開業を数ヶ月延期する旨を発表し、NHKニュースがそのことをライス米国務長官の訪ロニュースの次に伝えています。下記にご紹介します。
この開業スケジュールについては、台湾の日刊紙「中国時報」が19日、台湾高速鉄道会社の欧晋徳・執行長の話に基づいて「来月中旬の開業」すると報じたばかりであり、また、中央銀行も19日、その開業を祝うための記念銀貨のデザインを発表しています。
なんともちぐはぐな感が拭えない台湾高速鉄路会社の対応ぶりですが、フランス・ドイツの顧問団にも「いい顔」をし、日本にも「いい顔」をして、「ベストミックス」だと強弁していたら、この結末です。「虻蜂取らず」とか「二兎を追うものは一兎も得ず」ということわざが自然と思い起こされる、台湾高速鉄路会社のちぐはぐドタバタぶりです。
しかし、片木理事が書いていたように、日本の新幹線思想の根幹は「安全性」にあります。事故を起こさないことを第一に考えたのが新幹線です。それゆえ開業以来、41年間も無事故できています。台湾高速鉄路は、資金繰りがたいへんなことは十分にわかりますが、国家的事業なのですから、早期開業にこだわらず、「安全性」を最優先して今後とも取り組んでもらいたいものです。
台湾高速鉄道、再び開業延期
海外で初めて、日本の新幹線の技術を採用した台湾の高速鉄道は、当初の計画から1年先延ばしして今月末としていた開業の予定を、運転士の育成の遅れなどから、再び数か月間延期することになりました。
台湾の高速鉄道は、台北と高雄の間、およそ345キロを在来線の半分に満たない1時間半で結ぶもので、海外で初めて日本の新幹線の技術が採用されました。運営主体の台湾高速鉄道会社は、今月末の開業に向けて準備を進めてきましたが、運転士やスタッフの育成が大幅に遅れていることなどから、開業の条件となっている国際的な第三者機関の認証が得られない状態となっています。これについて台湾高速鉄道会社は、21日夜、認証に必要なデータを集めるための走行試験に、少なくともさらに1週間かかることを明らかにし、認証を得たあとに必要な手続きも含めると、開業は再び数か月間延期されることが確実となりました。
台湾高速鉄道は、去年も工事の遅れなどを理由に、開業予定を1年延ばしており、開業の準備が順調に進まない背景には、フランスやドイツの技術を部分的に取り入れることに台湾側がこだわった結果、日本側から十分な支援が得られなくなったことがあると指摘されています。【10月22日付・NHKニュース】