4日午前9時10分、李登輝元総統は曾文恵夫人を伴い、台北桃園空港の正面玄関からテレビ局10社、新聞社多数がカメラを構えるロビーに入られた。
一般客から握手を求められたり、拍手を受ける中、午前10時発のJAL642便に搭乗したご夫妻は、機上で同行する本会事務局やメディアなどの取材を受け、訪日への抱負を語られた。
昨年の沖縄訪問の際には、ちょうど麻生政権が誕生し、李元総統も祝電を送ったことを披露している。今回の訪日でも、ちょうど民主党政権への移行が決まった時期でもあり、新政権の誕生についての感想を問われると、「人民の大きな支持を受けて誕生したのだから、何よりも人民を念頭において政治を進めていかなければならない」と語った。
また、新政権が「中国寄り、アジア重視」と言われることには、との質問には、「中国との関係においては、いつも言っているように『私は私、あなたはあなた』という姿勢で取り組んでいかなければならない。以前の日本外交のように、中国にペコペコするだけではとても中国との外交はやっていけない。また、アジア重視と言っても、アメリカとの日米関係を基礎にした関係がそう簡単に変わるはずはない。アジアと言っても、言語・文化・格差が違いすぎる。そこを理解していかなければならない」と語った。
また、台湾を訪問したダライ・ラマ氏については「南部の台風被害者を慰めるために台湾に来てくれた。そのことに非常に有難く思っている。私は会わなかったけれども、もし会ったら政治的な色がついてしまうからだ。彼は慰霊のために来てくれたのだからそれでよい」などと語った。
定刻より少し早めの14時過ぎ、搭乗便は無事に成田空港へ着陸。奥様の手を握り、通路を歩く李元総統は心なしかほっとした様子。VIP用通路を通って、車に乗り込まれる直前、ほんの少し、一般ロビーに姿を現すことになるのだが、その際、歓迎に来ていた本会の柚原事務局長らに気づくと、挨拶を返され車に乗り込まれた。
2年前の奥の細道散策の際にも東京の拠点となった港区虎ノ門のホテルオークラへ李登輝元総統一行が到着したのは15時過ぎ。出迎えのために集まった本会会員を含む50人以上の歓声に迎えられた。入口玄関では取材に応じ、訪日第一声を語った。
この後、休憩した李元総統は18時30分から2Fエメラルドルームで開かれた総統主催晩餐会にのぞまれ、ホストとして招待客を迎えた。
会には森喜朗元首相や石原伸晃自民党幹事長代理、民主党の長島昭久議員、中津川博郷議員、改革クラブの大江康弘議員、無所属の平沼赳夫議員、評論家の金美齢氏、ジャーナリストの桜井よしこ氏、大宅映子氏、歴代の交流協会台北所長(駐台大使)ら多くの友人100人以上が出席した。
会は20時半過ぎにお開き。その後、李元総統は休まれたが、翌日の講演会に向け、何度も原稿を読み直していたという。5日の東京青年会議所主催の講演会は日比谷公会堂で開かれる。
※本会HPに載せきれない写真、詳細レポートは2009年特集ブログをご覧ください。