平成17年3月12日(土)~3月16日(水) 参加者数48名
第2回の「李登輝学校台湾研修団(団長:山口政治・本会理事)」は平成17年3月12日(土)から3月16日(水)までの4泊5日で挙行されました。
今回の団長は東台湾研究の第一人者で本会理事の山口政治(やまぐちまさじ)氏です。山口団長は湾生で、大正13年(1924年)、台湾東側の花蓮の近く吉野村に生を享け、花蓮港中学、台北高等学校、京都大学法学部を卒業。李登輝前総統の一年後輩です。その後、労働省に入省し、台湾などとの青少年交流を進めていた故末次一郎先生とのご縁で各国と青少年交流事業などをされてきました。
台湾に関しては『東台湾開発史』という名著があります。現在、東台湾研究の一級資料でもありますが、残念ながら絶版になっています。そこで、現在、改訂版の執筆にかかられているそうです。
研修団に参加される方にも、みなさんにも、台湾は西だけではなく東もあるので、東台湾の歴史をぜひ知って欲しいとのことでした。
「充実の第2回台湾李登輝学校研修団 李登輝前総統は5日間の研修で4回講義」
去る3月12日から台湾で行われた第2回李登輝学校台湾研修団(48名、山口政治団長、三上伊三男副団長)は16日、無事に帰国いたしました。
今回は有難いことに、5日間の研修で4回も李登輝前総統の講義を承りました。
まず1回目は初日の12日、李登輝学校の校長でもある李登輝前総統が台湾神学院から名誉神学博士号を授与されるとのことで、そこへの出席を許可され、空港から陽明山の台湾神学院へ直行し、李登輝前総統がなぜキリスト教徒になったのかについて話されるのを、日本語の同時通訳で拝聴しました。また、日本語に翻訳された「名誉神学博士号の授与に対する感想」も手渡されましたが、参加した日本人は私どもだけのようでしたから、どうやらこれは私どもへの特別の配慮だったようです。
因みに、この名誉博士号の授与式には、李登輝前総統夫人の曽文恵さんやご子息のお嫁さんの張月雲さんなどのご家族のほか、黄昆輝・群策会秘書長、黄昭堂・台湾独立建国聯盟主席、黄崑虎・李登輝之友会会長、羅福全・亜東関係協会会長、黄主文・台湾団結連聯前主席、蔡焜燦・李登輝之友会台北会長など、日本でもよく知られている要人の方が出席されていました。
という訳で、今回は2日目の3月13日が始業式となり、校長の李登輝前総統が約40分にわたって挨拶されました。これが2回目です。ここでは、夏目漱石の「則天去私」を例に取りながら台湾の新しいアイデンティティについてや、中国が定めようとしている反国家分裂法、尖閣諸島の帰属問題などの重要問題について縦横無尽といった感じで話されました。
3回目は予定にはなかった3日目(14日)の夕方、突然、李登輝前総統のご要望で組み入れられました。ここでは「新時代台湾人とは何か」と題され、なんと3時20分ころから5時過ぎまで1時間半にわたって講義され、その後も6時近くまで質疑応答があり、約3時間もの時間を私どものために費やされました。
4回目は最終日(16日)の終業式でのご挨拶です。ここでは日米安保協議委員会(2+2)の結果を高く評価し、反国家分裂法の矛盾点を指摘されました。まず第1点は、反国家分裂法では「内戦」といっているが、すでに台湾は1991年5月1日に動員戡乱時期臨時条款を解除したことで内戦が停止していることを示したので、内戦論は成立しない。第2点は、台湾はすでに独立しているので独立を宣言する必要はない。すでに中華民国も存在していないのだから、国家の正常化を推進しているので、中国が介入する要素はない。第3点は、台湾は古来から中国の一部という言い方は虚構だ。それなら「台湾はオランダの一部」「台湾はスペインの一部」という言い方もできることになる。
そのような点から、反国家分裂法は中国の侵略的野心の賜物であり、問題はあくまでも中国にある、と剔抉されました。
以上のように、4回にわたった李登輝前総統の講話に参加者が感銘を深くしたのはいうまでもありません。他の講義も、国史館館長の張炎憲先生、中央研究院台湾史研究所副所長の陳慈玉先生、小説家の鄭清文先生、淡水大学教授の許慶雄先生、台湾独立建国聯盟主席の黄昭堂先生、中央研究院近代史研究所研究員で台湾師範大学歴史研究所教授の林明徳先生といった台湾を代表する方々が、台湾の民主化や憲法制定などについてじっくり話していただきました。
今回も野外研修では総統府と二二八和平公園と記念館を訪問、公園内の二二八記念塔前で白ゆりの花を各人が捧げて冥福を祈りました。また、故宮博物院近くの原住民博物館を見学し、原住民の歴史を学びました。
すでに参加者からは「李登輝前総統の講義は1回目よりパワーアップしていて驚いた」「これほど充実したものだとは予想できなかった」など興味深い感想が届いています。また、第3回目にも必ず参加したいといった声も寄せられていて、事務局としてはすでに今秋10月末から5泊6日の日程で台湾側に申し込んでいますので、できるだけ早めに決め、わかり次第お知らせいたします。【メールマガジン『日台共栄』158号より転載】