平成27年春の叙勲が発表され、台湾からは駐日代表や亜東関係協会会長を歴任した許水徳氏、前海峡基金会理事長の江丙坤氏、元中央研究院民族学研究所研究員の劉枝萬氏ら3人が選出された。
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許水徳氏は1931年(昭和6年)、高雄生まれ。李登輝政権で内政部長や駐日代表を歴任した。戒厳令解除後の台湾では、民主化運動の高まりでデモ隊と警官隊の衝突が頻発しており、李登輝総統の命を受けた内政部長の許水徳氏は、60年代の安保闘争を経験した日本の警察警備の方式を台湾に導入、怪我人の発生を抑えることに成功している。その後、国民党秘書長、考試院長、亜東関係協会会長などを歴任した。
江丙坤氏は1932年(昭和7年)、南投生まれ。東京大学農業経済学博士。李登輝政権で経済部長(経済産業相)、後に立法委員に転じて立法院副院長などを歴任。2008年、対中国窓口機関である財団法人海峡基金会理事長に就任、対中交渉のトップとして、中国の対台湾窓口である海峽両岸関係協会の陳雲林会長と「江陳会談」を行い、ECFA締結などを進めたが、「台湾を矮小化するもの」などとして物議を醸した。2014年、中国信託銀行グループが買収した東京スター銀行会長に就任。
劉枝萬氏は1923年(大正12年)生まれ、日本の中央大学卒、東京教育大学(現筑波大学)博士。1964年から中央研究院民族学研究所で中国民俗学の研究に従事。国史館台湾文献館終生文献貢献賞受章。専門は民俗学、道教、民間信仰。