李登輝総統は5日午後、嘉義の国立中正大学で学生を対象に「台湾の主体性を確立する道 台湾パラダイムの変遷」と題した講演を行った。
昨年10月、中正大学から名誉博士号を贈られた際の要請に応えたもの。
講堂で行われた講演は立ち見が出る満席。講演後の質疑応答では、中国からの留学生に「国家統一綱領」について問われると、李総統は「台湾は中国の一部分ではない」と強調したうえで、次のように答えている。
「では、なぜ国家統一綱領を制定したのか。1991年、私は(台湾と中国は内戦状態にあると規定した)動員戡乱時期を終わらせようとした。しかし、当時の国民党にはまだ『反攻大陸』を夢見ている連中がいた。だから私は国家統一綱領を制定して国民党の年寄り連中を黙らせる必要があった。
国家統一綱領では、中国が自由化・民主化・所得配分の公平が実現したあかつきには統一について話し合いましょうという厳格な規定を設けたが、故意にそのようにしたまでで、みんな国民党の年寄りに聞かせるためだけに作ったものだ。
それに国家統一綱領は陳水扁総統の時代に廃止されたため、すでに存在しない。ただ、あの当時は『反攻大陸』は不可能ですよ、とは言えなかった。今だから言える話だ。」
講演終了後は、聴講した学生全員が壇上に上がり、李登輝総統を囲んでの記念撮影に納まった。