本会が戸籍問題に取り組んだのは、外国人登録証明書(外登証)問題が解決した翌年の平成22年(2010年)のことで、今年で5年目です。
小田村四郎会長が当時の柳田稔法務大臣宛に「台湾出身者の戸籍に関する要望書」を送ったことをもって、この活動を開始しています。その後、署名活動を展開、これまでに3万4,351人の方から賛同署名をいただき、法務大臣に届けて参りました。
1年を4期に分け、3ヵ月ごとに法務大臣に署名を届けていたのですが、時代は民主党政権だったため本当によくころころ法務大臣が替りました。そのような事情でなかなか進展しませんでした。
しかし今年の夏、「調理師免許証」において国籍が中国にされているので何とかして欲しいという相談が本会に届きました。
調べていきますと、「調理師免許証」は自治体の首長名で発行するのですが、厚労省の指導の下、国籍欄を表記することになっていて、免許申請時に戸籍謄本(外国籍の方はそれに替るもの)を提出しなければならず、調理師法施行令で「本籍地都道府県名(日本の国籍を有しない者については、その国籍)」と定めていることが判明しました。
厚労省の見解では、日本国籍を有しない外国人の場合は、在留カードや外国人住民票の記載に基づかず、戸籍記載に基づくので「中国」としているという説明でした。
つまり、この「調理師免許証」でも戸籍問題が根底にあることが分かってきました。その他に「栄養士免許証」と「小型船舶操縦免許証」も同様に国籍欄を設けていることで、戸籍が基になっているため、台湾出身者は「中国」とされていることも判明しています。
また、今年7月に台湾人女性と結婚した日本人の方から、次のような切実なお便りをいただきました。
<本籍地の市役所に婚姻届けを提出したところ、発行された婚姻届受理証明書の妻の国籍の表示が『「国」になっていたため抗議をしたところ、そういうふうにしろと言われているのでどうすることもできないと言われました。その後、住んでいるところの区役所で戸籍謄本を取ったところ、こちらも妻の国籍表示が『中国』になっていました。
同じような問題を抱えている人の声も聞きました。このような現状が本当に理解しがたく残念でなりません。何よりも、この問題に直面して仕方なく受け入れている台湾出身の方々が不憫でなりません。一刻も早く解決したい思いでいっぱいです。どのようにすれば解決に近づくのか教えていただけないでしょうか。>
そもそも本会が平成22年(2010年)に戸籍問題に取り組み始めたのも、その年の9月、台湾人女性と結婚した日本人男性から、妻の戸籍の国籍を「中国」にされたといって相談を受けたことがきっかけでした。
その後も、青森県三沢市でアメリカ人と結婚した台湾人女性から「三沢市役所から受け取った結婚証明書に、私の国籍が『中華人民共和国(PRC)』と記載されていましたので、すぐに訂正を求めました。しかし、市役所の担当者は『日本では台湾は中国の一部と考えられているため、国籍を台湾と表記することができない』と私に言うのです。私は深いショックを受け、混乱しました」という手紙をいただくなど、この問題に悩む人々が少なくないことを知らされました。
昨年は5年ぶりとなる李登輝元総統のご来日があり、今年も7月に来日されましたのでかかりっきりになっていたのですが、それも一段落しました。
つきましては、本会は改めて戸籍問題の解決に向けて取り組みます。
そこで、日本全国は言うに及ばず、台湾でもアメリカでも世界中から賛同の署名がいただけるように、ネット署名の申し込みフォームを作成しました。
有効な署名には「姓」「名前」「Eメールアドレス」「国籍」「郵便番号」「住所」を入力することになっているため、本会独自の署名の申し込みフォームを作成しました。フォームでの署名は9人まで記入可能で、個人情報は本署名以外では使用いたしません。
ご理解とご協力をお願いするとともに、ご賛同いただけるようでしたら、お知り合いにご興味のある方などいらっしゃいましたら、ぜひお声掛けなどをしていただければ幸いです。多くの皆様のご協力が必要ですので、ツイッターやfacebookなどを通じて広めていただきますようお願い申し上げます。
平成27年10月吉日
日本李登輝友の会・台湾正名運動本部