来る2月3日と4日、「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」に加盟する日米など12ヵ国がニュージーランド・オークランドにおいて協定調印式を行う予定となっている。
参加国政府関係者の間では、今後、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国のインドネシア、タイ、フィリピンに加え、韓国や台湾の近い将来における加盟の可能性についての議論も非公式に行われていると仄聞している。
台湾の次期総統に当選した蔡英文・民進党主席がTPP加盟に意欲を示していることについて、すでに、菅義偉・内閣官房長官は「地域の安定と繁栄に大きく寄与する」との観点から歓迎表明をしている。
究極的にはアジア太平洋地域の安全保障を確保するという観点からも、台湾のTPP加盟は極めて重要であることから、TPP加盟国による協定調印式と併せて開催予定の閣僚会議において、日本から他の参加11カ国に対して台湾の早期加盟を強く働きかけるべきとして、本会は本日、「緊急提言」として「台湾のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)加盟を早期に実現せよ」を発表した。
この緊急提言は去る1月18日に発表した緊急提言「選挙後の台湾にスムーズな政権移譲を望む」に続く第2弾で、漢文版も作成し、本日、安倍晋三総理、菅義偉・官房長官、岸田文雄・外務大臣、甘利明・内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)をはじめ、国会議員や有識者に送達するとともに、蔡英文・民進党主席や李登輝元総統など台湾の関係者にも送達している。
日本李登輝友の会「2016緊急提言」
平成28年(2016年)1月28日
会 長
小田村四郎
副会長
加瀬英明 川村純彦 黄文雄 田久保忠衛 中西輝政
台湾のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)加盟を早期に実現せよ
日本、米国等の12か国で構成される「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」は、昨年10月5日、米国・アトランタ閣僚会合において大筋合意に至り、本年2月4日、ニュージーランド・オークランドにおいて、参加各国の担当閣僚による協定文書への署名式が行われる予定である。その後、参加各国政府が協定の発効に必要な議会の承認を得る等の国内手続を経て、協定が正式に発効する運びとなる。
TPPは、モノの関税だけではなくサービス、投資の自由化を進め、さらには知的財産、電子商取引、国有企業の規律、環境など、幅広い分野で21世紀型のルールを構築する多国間の経済連携協定である。TPPの発効により、アジア太平洋地域に経済規模で全世界の約4割を占める巨大経済圏が誕生することとなる。
TPPの参加国は、現在、オーストラリア,ブルネイ,カナダ,チリ,日本,マレーシア,メキシコ,ニュージーランド,ペルー,シンガポール,米国及びベトナムの合計12か国であるが、すでに、参加国政府関係者の間では、今後、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国のインドネシア、タイ、フィリピンに加え、韓国や台湾の近い将来における加盟の可能性についての議論も、非公式に行われていると仄聞しているところである。
世界貿易機関(WTO)の「フルメンバー」であるという事実以上に、「基本的価値観を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナー、大切な友人」(本年1月18日、菅義偉内閣官房長官の記者会見)である台湾が早期にTPPに加入できることは、日本にとって意義深いものがある。さらに俯瞰すれば、台湾が、日本、米国等とともに、アジア太平洋地域における自由貿易経済圏を共に構成することが、地域全体に及ぼす経済的なメリットをもたらすのみならず、この巨大自由貿易経済圏の公平性や安定性を根幹から支え、究極的にはアジア太平洋地域の安全保障を確保するという観点からも、台湾のTPP加盟は極めて重要である。
これらのことを踏まえ、今後、日本政府として、台湾のTPP加盟について、米国等の他のTPP参加11カ国に対して強く働きかけるべきものと考える。具体的には、来る2月3日~4日、オークランドにおける協定調印式に際し開催される予定の参加国閣僚会議において、参加各国が台湾のTPP加入に向けての二国間の個別交渉に入ることについて参加国の間で早急にコンセンサスを得るよう、日本政府として積極的に働きかけることを提案する。
その際、台湾がTPPに加盟する場合の呼称については、昨年の安倍総理大臣の「戦後70年談話」において用いられた事に示されるように、日本国内はもとより、国際社会においても、最も一般的に使用されている呼称である「台湾」とするよう、各国政府に強く働きかけるものと考える。
【注】なお、TPPについては、これまで、関税等の市場アクセス等の論点について、どのように日本の国益を確保するか、さらには、かけがえのない日本の「国柄」をいかにして維持していくべきか、といった観点からも、様々の論争が国内で行われてきた。ここでは、そういった議論には敢えて立ち入るものではなく、現に、近々、参加国政府による協定書署名式が行われ、その後、各参加国内の承認等の手続きを経て協定が発効するという実際の動きを前提として、台湾のTPP早期加盟実現に向けて、日本政府をはじめ各方面における具体的なアクションを求めるという趣旨の緊急提言であることを付記する。
日本李登輝之友會「2016緊急建言」
2016年1月28日
會 長
小田村四郎
副會長
加瀨英明 川村純彥 黃文雄 田久保忠衛 中西輝政
促使台灣早日加入TPP(跨太平洋夥伴協定)
由日本、美國等12個國家所構成之「跨太平洋夥伴協定(TPP)」,在去年10月5日於美國亞特蘭大所召開的首長會議中達成基本合意,並將在今年2月4日,於紐西蘭首府奧克蘭舉行各參加國擔任首長的協定簽署儀式。其後,參加各國的政府經國會承認等國內程序後,協定将正式生效。
TPP不僅止於貨品之關稅,更擴及於服務業、投資自由化事項,更將在智慧財產權、電子商務交易、國營企業規制、環境規制等廣泛的領域,進行所謂21世紀型的規範設定的多國間經貿合作協定。TPP的生效,將可望創造一個在跨太平洋區域中,經濟規模佔全世界四成的巨大經濟圈。
TPP的創始參加國為澳大利亞、汶萊、加拿大、智利、日本、馬來西亞、墨西哥、紐西蘭、秘魯、新加坡、美國以及越南等合計12個國家,惟據聞目前參加國政府人士間,已經開始以非公式的方式,著手進行東協(ASEAN)成員國的印尼、泰國、菲律賓、以及韓國與台灣等國家,在不久的將來進一步加盟TPP的可能性討論。
台灣具有世界貿易組織(WTO)的正式會員之事實、且作為「與日本共有基本的價值觀、緊密的經濟關係,以及人員往來上重要的夥伴以及重要的友人」(菅義偉內閣官房長官於今年1月18日在記者會中之發言),使台灣能夠及早加入TPP,對日本而言具有極為深遠的意義。若更進一步從全球視野俯瞰以觀,若台灣得與日本、美國等國家,共同構築一個太平洋區域的自由貿易經濟圈,則不僅可以為區域全體帶來經濟效益以外,在該巨大的自由貿易經濟圈所具有的公平性與安定性根基下、最終更可確保亞洲太平洋區域安全保障,從這兩個觀點來看,台灣加盟TPP都是極為重要的。
基於以上各點,本會主張,今後日本政府在關於台灣加入TPP的事宜上,應對於美國等其他十一個參加國進行積極的遊說。具體而言,本會提案在2月3日至4日即將於奧克蘭召開的TPP協定簽署儀式之際同步舉行的參加國首長會議上,日本政府應積極就參加國間關於台灣加入TPP之事項進行二國間之個別交涉,與各參加國之間儘速取得共識。
届時,關於台灣加入TPP之際所使用之稱呼,本會主張向各國政府要求去年安倍總理的「戰後70年談話」使用過、國際上也最廣為使用之「台灣」為名。