台湾紙・聯合報は14日付の紙面で「アイデンティティ」と「台湾の将来」についての調査結果を発表した。

「アイデンティティ」の調査については、73%が「自分は台湾人」と認識しており、ここ20年来の調査で過去最高を示した。

特に、20代の若者は85%が「自分は台湾人」と回答しており、李登輝総統が口にする「ひまわり学生運動を支えたのは、強固な台湾人アイデンティティを基盤とした若者たち」という言葉を裏打ちする結果となった。

「台湾の将来」に関する調査では、46%が「永遠に現状維持」と回答。ただ「当面は現状を維持し、その後に独立」と答えた人が17%おり、合わせて63%が当面は現状維持を支持していることがわかった。

また「できるだけ早く独立」を答えた人も19%おり、「現状維持」や「独立」という、中国とは別個の存在を望む割合は80%を超えていることが示されている。

一方で「できるだけ早く統一」や「当面は現状を維持し、その後に統一」など、中国との一体化を望む割合は、合わせても12%にとどまった。

台湾紙・自由時報は聯合報の調査結果を引用し、現状維持を望む民意が過半数を超えていることは、両岸関係の発展の方向における主流意見だと報じている。

下記に調査結果を報じる聯合報の記事をご紹介したい(翻訳:本会台北事務所)。なお、調査結果のグラフについては聯合報のHPも参照いただきたい。


国民のアイデンティティに差異 20代の若者は85%が「私は台湾人」
本紙が行った調査結果によれば、「自分は台湾人だ」と認識する人の比率は73%と過去最高を示し、20年前の44%から大幅に上昇した。また、46%が「台湾は永遠に現状維持すべき」と答え、現在の台湾の主流意見だということを示している。ただ、独立を望む割合も昨年から8%増加した。

ここ20年間の、国民のアイデンティティの変化を観察すると、「自分は台湾人だ」と認識する人は、1996年に44%だったのが、2006年には55%、今回の調査では73%と上昇を続けている。

一方で「自分は中国人だ」と認識する人は、20年前の三分の一、10年前の2割にまで落ち込み、今回の調査結果では11%となり最低を記録した。このほか、10%の人が「自分は台湾人でもあり中国人でもある」と答え、1%が「台湾人イコール中国人である」、6%が「意見なし」という結果だった。

アイデンティティについて

台湾の将来について

「台湾の将来」についての調査では、19%が「できるだけ早く独立」、17%が「当面は現状を維持し、その後に独立」、4%が「できるだけ早く統一」、8%が「当面は現状を維持し、その後に統一」、46%が「永遠に現状維持」、6%が「意見なし」だった。

「永遠に現状維持」と答えた割合は、1998年の調査では18%、2003年では35%、2004年には40%を上回り、2010年には過半数を突破している。昨年(2015年)の調査では55%を示して過去最高となったが、今回の調査では昨年から9%減少し、46%にとどまった。

アイデンティティの世代別調査結果

また「できるだけ早く独立」もしくは「当面は現状を維持し、その後に独立」と答えた割合が8%増加しており、2003年(2004年の総統選挙の5ヶ月前)に行われた調査結果と同じく過去最高を示した。

それに対し「統一」を望む割合は減少傾向にあり、1997年の調査では「できるだけ早く統一」もしくは「当面は現状を維持し、その後に統一」が合わせて30%を超えていたものの、現在では10%前後にとどまっている。

世代別に見ると、「自分は台湾人だ」と認識する割合は20歳から29歳の若者が85%と最も高く、「できるだけ早く独立(29%)」もしくは「当面は現状を維持し、その後に独立(25%)」の割合も、30歳以上の年齢層の調査結果を上回っている。

台湾独立の代償
また、今回の調査では同時に「仮に台湾が独立を宣言した場合、代償として受け入れられるのはどれか」という設問も設けられた。

台湾が独立を宣言した場合、受け入れられる代償はどれか(複数選択可)

選択肢には「中国人観光客の激減」「国交を有する国との断交」「武力衝突」「経済封鎖」「代償を払いたくない」が挙げられ、複数選択可とされた。

調査結果では、43%が「中国人観光客の激減」は受け入れられるとし、「国交を有する国との断交」および「武力衝突」を受け入れられるとしたのはそれぞれ21%前後だった。また、16%が台湾独立の代償として「経済封鎖」も辞さないとし、23%が「代償を払いたくない、選択肢の中には代償となるものがない」と答えている。

30歳以下の若い世代および独立を主張する人のうち、中国人観光客が激減してもよいと答えたのは60%以上で最高を示し、「国交を有する国との断交」「武力衝突」「経済封鎖」を台湾独立の代償として受け入れられると答えたのは30%を下回った。

今回の調査は2月15日から19日の夜間に行われ、成年を対象とし、1,019名が回答、649名が回答を拒絶した。信頼区間は95%、誤差は±3.1ポイント以内である。

調査は全国22の自治体で、無差別に抽出した家庭電話に連絡する方式で行われ、20歳以上の性別、年齢、自治体の人口構造を調整して行われた。

【聯合報の報道を本会台北事務所で翻訳したものです】