鎌倉市議会が6月定例会最終日の6月30日、本会議において「台湾出身者の戸籍表記の早期是正を求める意見書」を可決していたことが判明した。
この意見書は、鎌倉市議会議員の長嶋竜弘(ながしま・たつひろ 2期)、渡邊昌一郎(わたなべ・しょういちろう 2期)、上畠寛弘(うえはた・のりひろ 1期)、松中健治(まつなか・けんじ 10期)の4議員によって提出され、総員可決(全会一致)で可決された。
台湾出身者が日本人との結婚や養子縁組をする場合、または日本に帰化するなど、その身分に変動があった場合、戸籍における国籍や出生地は「台湾」ではなく「中国」や「中国台湾省」と表記されることについて、本会は6年前の平成22年(2010年)11月から、法務大臣に対して、元凶である民事局長通達を出し直し、台湾出身者の戸籍の表記は、在留カードや外国人住民票と同様に「国籍・地域」として「中国」から「台湾」に改めるよう要望している。
これに賛同して、これまで石川県議会(平成24年10月2日)、宮城県議会(平成24年10月11日)、柏崎市議会(平成28年3月25日)が同様の意見書を可決しており、鎌倉市議会で4番目の意見書可決となった。下記に鎌倉市議会で可決された意見書の全文をご紹介したい。
なお、台湾出身者が「中国」とされている戸籍問題の詳細については、本会ホームページ「台湾出身者が『中国』とされている戸籍問題の解決を!」に掲載しているので参考にされたい。
台湾出身者の戸籍表記の早期是正を求める意見書
現在、台湾出身者が日本人と結婚、または帰化した場合、戸籍の国籍や出生地には「中国」もしくは「中国台湾省」と表記されている。鎌倉市においても、台湾出身者を「中国」と表記する取り扱いを行っている。これは、戸籍において、台湾出身者を「中国」としたのは、昭和39年6月19日付で出された法務省民事局長による「中華民国の国籍の表示を『中国』と記載することについて」という通達が根拠となっている(参議院平成23年8月19日答弁書第256号)。
現在、日本政府の見解は、「中国」とは中華人民共和国のことであり、中国台湾省とは中華人民共和国の行政区を指すため、台湾出身者を中国人としている。しかし、台湾は一度たりとも中華人民共和国の統治を受けたことはなく、これは台湾出身者の尊厳、人権にかかわる重要な問題である。
中華人民共和国と日本の国交を樹立し、中華民国(台湾)と断交したのは昭和47年である。この国際関係を反映しないまま、戸籍では台湾出身者を「中国」と記載する状態が続いている。平成24年7月9日、外国人登録証明書を廃止し、新たな在留カード制度に移行された際には、「国籍・地域」欄を設け、台湾出身者は「中国」ではなく「台湾」と表記。同時に実施された外国人住民基本台帳でも、台湾出身者の「国籍・地域」は「台湾」と表記するようになった。つまり同じ法務省内の在留カードや外国人住民基本台帳と、戸籍の国籍欄の整合がとれていない。
よって、下記の事項を実現するよう日本政府に強く求める。
記
1 戸籍の国籍欄及び出生地欄を「国籍・地域」と改め、台湾出身者を「中国」ではなく「台湾」と表記するよう、早急に新たな民事局長通達を出すこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成28年6月30日
鎌 倉 市 議 会