台南の烏山頭ダムを管理する嘉南農田水利会は、本日午後2時より「八田與一技師追悼75周年記念会(慰霊祭)」を挙行した。
先月に八田銅像の頭部切断事件が発生したことを受け、例年であればダムを擁する烏山頭風景区が無料開放されるところだが、本年は初めて入場規制を実施。出席者も取材メディアも、許可証を持たなければ会場に入れない措置がとられた。
報道によると、慰霊祭には日台から約700名が出席。例年の出席者が300人前後だったことを考えると、事件の余波によって社会の関心を引き起こし、かえって出席者が増えた結果だ。
また、蔡英文総統は出席せず、行政院農業委員会の林聰賢・主任委員(農水相に相当)を代理で派遣した。頭部切断事件は日台双方で大きなニュースとなり、特に台湾社会では改めてイデオロギーの対立が根強いことが浮き彫りになったことも影響した可能性がある。
嘉南水利会の楊明風会長は「ここ30年、慰霊祭の光景はほぼ変わりなかったが、今年は雰囲気が大きく変わった。八田銅像の切断事件によって、かえって多くの若い世代の人々に、八田技師の功績となぜ農民たちがこれほどまでに八田技師に感謝し続けるのかを知らしめることとなった。その結果、台湾の社会はますます八田技師を敬い続けることになり、日台の友情はさらに堅固なものになるだろう」と話している。
頼清徳・台南市長も「壊された八田銅像は、奇美博物館や実際に修復を手掛けた芸術家の王昭旺氏をはじめ、各界の協力により、わずか11日で元の姿に戻った。台湾社会の誰もが八田銅像の修復のために全力を注いだことは、台湾が八田技師に深い敬意を抱いていることの表れだ。銅像を破壊した人間の目的は達せられなかったどころか、結果として日台間の絆をますます強固にした」などと話した。