本会の渡辺利夫会長は7月6日、金田勝年(かねだ・かつとし)法務大臣に「台湾出身者の戸籍表記是正を求める要望書」と第13期と第14期分の署名を送達しました。下記に要望書の全文をご紹介します。

台湾出身者の戸籍表記是正を求める趣旨にご賛同の上、署名にご協力いただいた皆さまに御礼申し上げます。引き続きご協力のほどお願いいたします。

● 【戸籍問題】 本会のネット署名にご協力を!【第15期:7月1日~12月31日】
 *署名に国籍制限はありません。誰でも、世界中どこからでも署名できます。
 *本会署名は、氏名及び住所の記載を要請する請願法に基づいた正式署名です。


台湾出身者の戸籍表記是正を求める要望書

私ども日本李登輝友の会は、文化交流を主とした日本と台湾の新しい関係を構築することを目的として活動している民間団体です。

法務省はこれまで、台湾出身者が日本人と結婚したり帰化した場合、戸籍の国籍や出生地を「中国」や「中国台湾省」と表記してきました。中国とは中華人民共和国のことであり、中国台湾省とは中華人民共和国の行政区を指します。即ち、台湾出身者を中国人として、その人権を侵害しているのが現在の戸籍制度です。

戸籍において、台湾出身者の国籍を「中国」としたのは、昭和39年(1964年)6月19日付で出された法務省民事局長による「中華民国の国籍の表示を『中国』と記載することについて」という通達でした。このことは政府も、大江康弘・参議院議員の「質問主意書」に対する平成23年8月19日の「答弁書」で明確に認めています。

昭和39年といえば今から50年以上も前、東京オリンピックが開催された年で、日本が中華民国と国交を結んでいた時代です。しかしその後、日本は中華民国と断交して中国と国交を結ぶなど、日本と台湾・中国の関係は大きく変わってきています。

日本政府は、平成17年9月には台湾観光客に対するビザ免除を恒久化し、平成19年9月には台湾と自動車運転免許証の相互承認を行い、中国と異なる対応をしています。東京都も平成20年5月、住民基本台帳の表記について、台湾からの転入・台湾への転出の際には「台湾」の表記を認めるという通知を出しています。

さらに平成24年7月9日、外登証を廃止し新たな在留カードの交付に際しては「国籍・地域」欄を設け、台湾出身者は「中国」ではなく「台湾」と明記しています。同時に実施された外国人住民基本台帳でも、台湾出身者の「国籍・地域」は「台湾」と表記するようになりました。もちろん、台湾が官民挙げて歓迎していることは周知の通りです。

ましてや台湾は、これまで中華人民共和国の統治下に入ったことはなく、台湾を中国領土とするのは、台湾併呑を正当化するための中国の政治宣伝以外のなにものでもありません。事実、この戸籍表記は日本政府の見解にも合致しておりません。これを放置しておくことは、台湾が中国の領土であり、その住民は中国国民であるとの誤った認識を世界に広げ、日本は中国の主張する「一つの中国」原則を承認しているとみなされかねません。

ついては、法務大臣は台湾出身者の人権を守るため、在留カードや外国人住民基本台帳にならい、また入国管理局と民事局の整合性や法務省統計との整合性を図るためにも、戸籍の国籍欄および出生地欄を「国籍・地域」と改め、台湾出身者は「中国」ではなく「台湾」と表記すべく、早急に民事局長通達を出し直すよう要望します。

併せて、ここに私どもの要望に賛同する署名(第13・14期)148人分を呈します。この賛同署名は、平成23年11月の第一期以来、本年6月末の第14期まで3万7,685人分の署名を要望書とともに送付していることを申し添えます。

 平成29年7月6日

                            日本李登輝友の会会長 渡辺 利夫

法務大臣 金田 勝年 殿