長野県上田市に本社がある「しなの鉄道」は、沿線人口の減少などの対策として台湾からの誘客を図るため、来る3月26日、台湾鉄路管理局(略称:台鉄)と友好協定を締結する。

当初、しなの鉄道線の「田中駅」と同名の駅が台湾鉄路管理局が運営する彰化県田中鎮を通る「縦貫線(南段)」にあったことから、しなの鉄道側は姉妹駅提携を締結することを提案していたが、台鉄側と話し合いを進める中「更に強固な友好関係を構築」しようとの合意に至り、友好協定を締結する運びになったという。

これまで日台の鉄道提携の多くは台湾側から持ちかけることが多かったが、近年は日本側から持ち掛けることが少なくない。うれしいことだ。心から祝意を表しつつ、この慶事を伝える日本経済新聞の記事と、しなの鉄道が3月22日に出した「プレスリリース」を下記にご紹介したい。

ちなみに、しなの鉄道が運営する路線はしなの鉄道線と北しなの線で、しなの鉄道線は北佐久郡軽井沢町の軽井沢駅から長野市の篠ノ井駅までの19駅を擁し、田中駅は8駅目にある。北しなの線は、長野市の長野駅と新潟県妙高市の妙高高原駅までの8駅を擁している。

一方の縦貫線(南段)は、彰化県彰化市の彰化駅から高雄市三民区の高雄駅に至る41駅を擁し、田中駅はしなの鉄道線と同じく8駅目にある。

本会の調査によれば、日台の鉄道提携は1986年1月25日の大井川鐵道と阿里山森林鉄道が姉妹鉄道を締結してから31件目となる。

また姉妹駅は、JR四国の松山駅と台湾鉄道の松山駅(2013年10月13日)を嚆矢として、山陽電鉄の亀山駅と宜蘭線の亀山駅(2014年12月22日)、東京駅と新竹駅(2015年2月12日)、大阪駅と台北駅(2015年12月4日)、えちごトキめき鉄道の関山駅と台湾鉄路管理局の関山駅(2017年11月10日)があり、今回のしなの鉄道線の田中駅と台湾鉄路管理局・縦貫線(南段)の田中駅で6件目となる。

◆プレスリリース:台湾鉄路管理局との友好協定及び田中駅の姉妹駅協定の締結について


しなの鉄道、台湾鉄路管理局と友好協定 姉妹駅も

【日本経済新聞「北関東・信越」版:2018年3月22日】

しなの鉄道(上田市)は26日、台湾鉄路管理局(台北市)と友好協定を締結する。同時にしなの鉄道の田中駅(東御市)と、台湾鉄路管理局縦貫線の田中駅(彰化県)が姉妹駅協定を結ぶ。しなの鉄道が海外の鉄道事業者と友好協定を結ぶのは初めて。軽井沢などを訪れる台湾人の観光客の利用拡大を目指す。

相互の送客での協力や鉄道技術の交流を進める。しなの鉄道の田中駅に提携記念の駅名標を設置するほか、記念イベントを計画。使用済みの企画乗車券を互いの駅に持っていくと未使用の企画乗車券と交換することや、しなの鉄道で台湾の車両風に塗り替えた列車の運行を検討する。

2017年の長野県の外国人延べ宿泊者数では台湾が30.9%を占めてトップ。同社は2月に訪日外国人向けの2日間フリーパスを発売するなど集客に力を入れている。

26日は台湾中西部の田中駅で協定締結式を開く。しなの鉄道の玉木淳社長や花岡利夫・東御市長らが出席する。