いまでも台湾には、本殿や鳥居、社務所などがほぼ完全な形で残されている桃園神社をはじめ、金瓜石社や台中神社、豊田神社、宜蘭神社など灯籠、狛犬、神馬などの遺構を残す神社跡が多い。一方、鹿野村社や林田神社などが補修され復元されている。
いったい台湾にはいつから、どれほどの神社が、どのような場所に、どのような理由で造営されたのか。戦後、神社は誰によって、どのような理由で取り壊されたのか。しかし、近年になって盛んに保存や修復が行われているのはなぜなのか。
これらの疑問にすべて答えているのが本書だ。金子展也(かねこのぶや)氏は、商社マンとして台湾に赴任していた2002年から15年をかけ420もの神社跡を確認し、今もその遺構をとどめる230社の来歴や現状について、450点の写真を駆使して本書をまとめた。台湾の神社について、これだけまとめたものはない。詳しい解説も読みやすく、神社にまつわるエピソードや現住所なども紹介する、台湾近代史の空白を埋める労作。
金子展也(かねこ・のぶや)
昭和25年(1950年)、北海道生まれ。小樽商科大学商学部を卒業後、日立ハイテクノロジーズに入社。系列会社を含め、シンガポール及び台湾に駐在。定年後、アンカーネットワークサービスに勤める傍ら、神奈川大学非文字資料センター研究協力者として海外神社の調査・研究に携わる。一般財団法人台湾協会評議員。著書に『旧台湾神社故地への旅案内』(神社新報社)など。
*金子展也氏は、6月30日に開催する本会の「第37回台湾セミナー」における講師として、「台湾に渡った日本の神々─フィールドワーク日本統治時代の台湾の神社」と題して講演されます。当日、図書販売コーナーで本書を取り扱います。
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【潮書房光人新社 発行:2018年5月 定価:3,024円(税込) A5判・並製・424頁】
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