台湾紙・自由時報の報道より

5月19日、九州の福岡県内を走る平成筑豊鉄道と新北市東部の山あいを走る台湾鉄路局の平渓線が、石炭輸送を目的に建設された歴史的な共通点があるとのことで姉妹鉄道協定を締結した。

締結式典は平成筑豊鉄道の田川伊田(たがわいた)駅において、台湾鉄路管理局の杜微・副局長や二場公人(ふたば・きみと)田川市長などが立ち会う中、平成筑豊鉄道の河合賢一(かわい・けんいち)社長と平渓線瑞芳駅の陳義忠・駅長が調印した。中央通信社が伝えているので下記に紹介したい。

平成筑豊鉄道は第三セクター方式の鉄道会社で典型的なローカル線だそうで、これまで線路の枕木のオーナーになってもらう「まくらぎオーナー」制度を実施したことを手はじめに、列車内のつり革のオーナーになってもらう「つり革オーナー」や車両5両の命名権(ネーミングライツ)の販売、全35駅のうち2駅を除く33駅の駅名愛称命名権の募集などユニークな企画を展開、利用者や地域企業などの運営参加を試みている。

伊田(いた)線・糸田(いとだ)線・田川線、トロッコ列車が走る門司港レトロ観光線の4線を有し、社長の河合賢一氏は公募によって選ばれている。

一方の平渓線は、沿線には「天灯フェスティバル」の会場や台湾のナイアガラ」と呼ばれる十分瀑布のある十分駅や、台湾屈指の炭田といわれた菁桐坑のある終点の菁桐駅などを擁する約13kmの単線。

2013年に4月23日に江ノ電と観光連携協定を締結し、2014年4月30日には秋田の鳥海山ろく線と姉妹鉄道協定を結んでいる。

ちなみに、本会の調査によれば、日台の鉄道提携は1986年1月25日に大井川鐵道と阿里山森林鉄道が姉妹鉄道を締結したことを嚆矢に、本年3月26日にしなの鉄道の田中駅と台鉄縦貫線(南段)の田中駅が姉妹駅協定締結まで31件あり、平成筑豊鉄道と平渓線が姉妹鉄道協定で32件目となる。そのうち大井川鐵道と阿里山森林鉄道の姉妹鉄道締結以外はすべて2013年以降に結ばれている。

都市間提携や修学旅行などとともに、近年の日台関係がいかに良好かを示す事例の一つだ。今回の締結を心から祝福したい。

◆平成筑豊鉄道


台湾鉄道の平渓線、平成筑豊鉄道と姉妹協定

【中央通信社:2018月5月19日】

台湾鉄路管理局(台鉄)平渓線と平成筑豊鉄道(福岡県福智町)は19日、姉妹鉄道協定を締結した。 

新北市東部の山あいを走る平渓線は、日本統治時代の1921(大正10)年に石炭輸送の専用路線として開業。沿線には毎年旧正月明けに行われる「天灯フェスティバル」の会場があり、現在では国内外から年間600万人が訪れる。台鉄は、同じく石炭輸送を目的に建設された平成筑豊鉄道とは歴史的な共通点があるとし、交流の活発化に期待を寄せている。 

台鉄平渓線はこれまでにも、江ノ島電鉄(神奈川県藤沢市)、由利高原鉄道(秋田県由利本荘市)鳥海山ろく線と同様の協定を結んでいる。