6月1日、癌細胞を重粒子線によって治療する施設「大阪重粒子線センター」を有する公益財団法人の大阪国際がん治療財団と花蓮県の花蓮慈済病院が連携協定を結ぶという。日本経済新聞が報じているので下記に紹介したい。
日台間で医療機関などの提携は、例えば2014年2月に熊本大学病院と国立成功大病院が認知症共同研究で交流協定を締結したり、2016年11月に筑波大学付属病院と桃園病院、中山大学が姉妹友好病院意向書を結ぶなど病院同士の提携があり、2014年4月には兵庫県と台北医学大学による粒子線医療施設開設支援の基本協定や、2015年7月の日本医師会と台湾の医師団体による災害時の医師派遣協定など数件ある。
今回は癌治療に関する協定で、兵庫県と台北医学大学による粒子線医療施設開設支援に続くものだ。台湾も死亡率の第1位は癌。癌治療分野における最先端技術に関する日台の提携は心強い。
最先端の重粒子線治療、台湾と連携 大阪国際がん財団
【日本経済新聞:2018年6月1日】
公益財団法人の大阪国際がん治療財団(大阪市)は台湾の医療機関と連携する。2月に完成した放射線の一種でがん細胞を狙い撃ちする重粒子線の治療施設「大阪重粒子線センター」に医師や技師らを受け入れたり、台湾に専門家を派遣したりする。最先端のがん治療の普及を後押しする。
1日に台湾の花蓮慈済病院(花蓮県)と連携協定を結ぶ。台湾の医療人材に治療方法や設備の扱い方を学んでもらう。同センターは10月中旬に前立腺がんなどの重粒子線治療を始める。年間1800人の治療を見込む。
高杉豊理事長は「大阪から世界にノウハウを輸出したい」と話す。最新の設備を導入した同センターには、米国や中国、シンガポールなどの医療機関や行政機関が視察に訪れるという。海外の医療機関の人材育成を支援することで、将来的に海外の患者の受け入れも視野に入れる。同センターは日本で6カ所目の重粒子線治療施設となる。
同センターの運営を受託する医療コンサルティングのシップヘルスケアホールディングスは、海外の医療機関との連携を通じて現地の施設運営業務やコンサル業務の受注につなげる。同社は医療ツーリズム事業も運営している。利用者の目的は現在、健康診断が中心という。同センターの認知度向上で「治療まで広がる可能性がある」(小川宏隆社長)と期待する。