6月11日、放射線医学総合研究所(千葉市稲毛区)と花蓮慈済医院(花蓮市)が癌の重粒子線治療などにおける研究や医療協力に関する覚書を交わしたそうです。
放射線医学総合研究所(放医研)のホームページによりますと「放医研は、重粒子線を用いたがん治療研究や、生体における分子レベルの異常を画像化する分子イメージング研究を中心とした『放射線の医学的利用のための研究』と、万が一に備える『放射線安全・緊急被ばく医療研究』を2つの柱として様々な研究を遂行」しているそうです。
一方、花蓮慈済医院は今月2日、癌細胞を重粒子線によって治療する施設「大阪重粒子線センター」を有する公益財団法人の大阪国際がん治療財団と連携協定を結んだばかりで、日本の重粒子線を用いたがん治療研究機関との技術提携を積極的に進めているとのこと。
本会HPや本会メールマガジン『日台共栄』誌上で逐一お伝えしているように、このところ日台間では医薬品や医療に関する提携が頻繁に行われています。5月末からの半月で下記の4件です。
5月31日に、一般社団法人富山県薬業連合会と台湾の財団法人医薬工業技術発展センターが双方の企業のパートナー探しの支援や後発医薬品(ジェネリック)の開発研究、製造技術の向上などをめざして「産業協力覚書」を締結。6月6日には、愛媛県立医療技術大学と高雄医学大学が「学術交流協定」を締結。6月11日には放射線医学総合研究所と花蓮慈済医院が重粒子線治療研究や医療協力に関する覚書を締結。6月12日には茨城県立医療大学と高雄医学大学が「国際連携協定」を締結という具合です。
日台間では自治体、議会、鉄道、学校、観光などに限らず、湖、山、温泉、動物園、博物館、メディア、空港、花卉など様々な分野での提携が進んでいます。変わったところでは教育委員会や弁護士会、水道局、ゴルフ場、お寺、消費者問題、防災問題などの提携もあり、近年は医薬品や医療に関する提携が増えています。
広辞苑誤記問題に現れたように、未だに台湾を正視できない日本の出版社もありますが、網の目のように広がり、そして確実に深まっているのが日台の絆です。この現実を正視し、歴史を事実にそって謙虚に振り返るなら、広辞苑誤記問題など起き得ようはずがありません。
日台関係に心を寄せる方々にとっては嬉しいニュースが続いていますので、本会は、正すべきところは正すよう主張してゆくとともに、力の限り「嬉しいニュース」をご紹介してまいります。
日台の医療機関が覚書締結 がんの重粒子線治療で交流
【中央通信社:2018年6月13日】
台湾の花蓮慈済医院(花蓮市)と日本の放射線医学総合研究所(千葉市)は11日、がんの重粒子線治療などにおける研究や医療協力に関する覚書(MOU)を交わした。今後、台湾の患者が日本で関連の治療を受けられるようになるほか、研究成果の共有や医療スタッフの訓練などを通して交流を深める。
同院の林欣栄院長は、がんの重粒子線治療が世界的な趨勢となりつつあることを強調。同分野での日台交流を目指し、これまで複数回にわたって日本に訪問団を派遣し、提携先を探してきたという。
許文林副院長は、今後は専門チームが患者に同行し、臨床実習を通して効率的に知識を身に付けることができるほか、患者の治療中や治療後の生活レベル向上にもつながると喜びを示した。
同院は大阪重粒子線センター(大阪市)とも、今月2日にMOUを締結している。