今年も日台間ではさまざまな交流が行われ、多くの協定や覚書が交わされました。
これまでは主に姉妹都市や姉妹校、鉄道や大学間の提携が目立っていましたが、近年は裾野が広がり、医療関係やホテル、タクシー業界同士で提携するケースも出て来ています。マラソンブームを反映して、11には富山マラソンと澎湖の菊島澎湖離島横断マラソンが「姉妹レース」を提携しています。
また、今年の特徴として企業や自治体が産学連携するケースも出てきました。JR四国と高雄の高苑科技大学(3月)、東京電力パワーグリッドと国立成功大学(6月)、静岡県のグラウンドワーク三島と国立雲林科技大(10月)、藤枝市と遠達国際企業(10月)、青森県と台日商務交流協進会、台北市進出口商業同業公会(12月)などです。
今年のもう一つの特徴として、議会提携も見逃せません。和歌山市議会と高雄市議会(6月)、京都市会と台南市議会(6月)、山梨県議会と高雄市議会(7月)と3件も結ばれました。日本と台湾の地方議員による「日台交流サミット」は2015年から毎年開かれ、今年は初めて台湾・高雄で7月に開催されたことが大きく寄与しています。
そもそも、日台の議会提携は2006年12月に石川県議会と台南県議会が「友好交流協定」を締結したことを嚆矢として、神奈川県議会と台北県議会(2008年4月)、金沢市議会と台南市議会(2017年1月)が提携していましたが、今年は一気に3件も増え、双方の地方議員の方々が交流を積極的に求めるようになっていることは力強い限りです。
さらに今年は、台湾に事務所を開設するケースも相次ぎました。亜細亜大学、JA全農インターナショナル、茨城県笠間市は同じ8月に開設の運びとなっています。
ちなみに、日本の自治体で初めて台湾に事務所を開設したのは沖縄県与那国町(よなぐにちょう)で、2007年5月29日のことでした。それ以降、山口県美祢市(2012年7月)、静岡県 (2013年4月)、高知県(2017年4月)と続き、笠間市は4番目の開設となっています。
先日、台北駐日経済文化代表処(謝長廷代表)が12月28日に発表した「台湾に対する意識調査」についてお伝えしたとき、「近年、日本と台湾の地方どうしで、友好姉妹都市や姉妹鉄道、姉妹温泉などの交流協定が数多く締結され、共同で観光キャンペーンや相互PRをするなどの交流が行われていることを知っていましたか」という問いに、「知らなかった」は47.7%にも上り、日本人の約半数が知らないという結果についてお伝えしました。
原因はいろいろ考えられますが、まずは自治体や企業などのメディアへのPR不足があるようです。姉妹提携しても、自治体のホームページにさえ掲載されていないことが少なくないという現状です。
また、記者などメディア側の認識不足もあるようです。姉妹都市などの締結は確かに記事としては地味なものになりがちですが、そこに至る経過はけっして地味ではなく、それぞれ苦労の末に結んでいるケースが大半です。そこをうまく掬い取って、地域に限定することなく、日台交流を俯瞰した視点からの記事を望みたいところです。
総括して、いささか右肩上がりの角度は鈍った感はありますものの、今年もまた日本と台湾は「最良の関係」をさらに深めた1年と言ってもいいのではないでしょうか。姉妹都市提携につきましては別途ご紹介しますが、下記にこの1年間に結ばれた主な提携をご紹介します。
2018年の日台交流
01月15日 岩手県と茨城県がタイガーエア台湾と「協力覚書」を締結。
01月18日 秋田県の田沢湖と高雄市の澄清湖が「姉妹湖」提携30周年を祝う式典。
01月26日 高校生の海外修学旅行先で台湾が初の4万人超えでダントツの1位。
03月06日 JR四国と高雄の高苑科技大学が「産学連携協定」を締結。
03月08日 東京工業大学と台湾科技大学が「全学協定」を締結。
03月15日 日本取引所グループと台湾証券交易所と韓国取引所が「提携覚書」を締結。
03月17日 京都府豆腐油揚商工組合と桃園市豆腐商業同業公会が覚書を締結
03月26日 しなの鉄道と台湾鉄路管理局が「友好協定」を締結。
03月26日 しなの鉄道の田中駅と台鉄縦貫線の田中駅が「姉妹駅協定」を締結。
04月29日 春の叙勲で馮寄台、廖了以、李傳洪の3氏が受章(台湾の受章者は54人)。
05月09日 三重県の御在所ロープウェイと台北の猫空ロープウェイが「友好協定」を締結。
05月09日 殉職した山岡栄先生の縁で伊予農業高校と台中市立新社高級中学が「姉妹校」を締結。
05月19日 平成筑豊鉄道と平渓線が「姉妹鉄道協定」を締結。
05月25日 東武動物公園と新竹市立動物園が「友好交流協定」と「姉妹園」を締結。
05月31日 京成電鉄と桃園メトロが「相互連携に関する合意書」を締結。
05月31日 とやま観光推進機構と台湾観光協会が「友好協定」を締結。
05月31日 富山県薬業連合会と台湾の医薬工業技術発展センターが「産業協力覚書」を締結。
06月01日 大阪国際がん治療財団と花蓮慈済病院が「連携協定」を締結。
06月06日 台湾日通国際物流と国立台湾海洋大学が「産学連携覚書」を締結。
06月06日 愛媛県立医療技術大学と高雄医学大学が「学術交流協定」を締結。
06月08日 和歌山市議会と高雄市議会が「友好交流覚書」を締結。
06月11日 放射線医学総合研究所と花蓮慈済医院が重粒子線治療研究や医療協力に関する覚書を締結。
06月12日 茨城県立医療大学と高雄医学大学が「国際連携協定」を締結。
06月13日 京都市会と台南市議会が「友好交流協定」を締結。
06月15日 東京電力パワーグリッドと国立成功大学が「産学連携協定」を締結。
06月22日 李登輝総統が慰霊碑除幕式に臨むため沖縄を訪問。
07月06日 山梨県議会と高雄市議会が「友好交流促進覚書」を締結。
07月16日 海上災害防止センターと工業技術研究院が「協力覚書」を締結。
07月17日 若林正丈、関宗貴、林曼麗、台湾太鼓協会が平成30年度の外務大臣表彰。
07月12日 日本コンベンション協会と台湾貿易センター・TECAが「相互連携に関する基本合意書」に調印。
08月01日 日本薬科大学が国家中医薬研究所、台中慈済病院、亜洲大学と「学術交流協定」締結と発表。
08月03日 亜細亜大学が台北市内に台湾事務所を開設。
08月03日 JA全農インターナショナルが台湾に子会社と台湾事務所を開設。
08月23日 茨城県笠間市が台北市内に「台湾交流事務所」を開設。
09月05日 宮古島市が長栄大学の宮古島分校開設で同大と「交流覚書」を締結。
09月13日 長野県教育委員会と高雄市教育局が「教育交流協力に関する覚書」を締結。
09月17日 しなの鉄道と旧山線レールバイクが「観光連携に関わる協議書」を締結。
09月17日 軽井沢のエルツおもちゃ博物館と苗栗の三義木彫博物館が「文化観光連携協定」を締結。
10月12日 富山県日台親善協会と行政院農業委員会が「台湾バナナに関する協力覚書」に調印。
10月12日 静岡県のグラウンドワーク三島と国立雲林科技大が「インターンシップ協定」を締結。
10月14日 「白冷圳の父」と讃えられる磯田謙雄技師の銅像が台中市新社区に建立。
10月20日 神奈川県大和市などで「台湾少年工来日75年記念歓迎大会」が開催。
10月27日 藤枝市と遠達国際企業が「包括連携協定」を締結。
10月28日 茨城、中部、北九州の3空港に台湾との国際定期便が初就航。
11月03日 富山マラソンと澎湖の菊島澎湖離島横断マラソンが「姉妹レース」を提携。
11月03日 秋の叙勲で許勝雄氏と鄭祺耀氏が受章(台湾の受章者は56人)。
11月05日 みずほ銀行と台湾の三三企業交流会が業務提携
11月10日 「漆工芸の父」と尊敬される山中公に縁して「台湾・香川 漆芸交流展」。
11月10日 日本李登輝友の会秋田県支部が設立。
11月21日 JR東日本ホテルズと福華大飯店が「営業提携契約」を締結。
12月01日 蔡焜燦先生の顕彰碑除幕式を山口県下松市の米泉湖で開催。
12月05日 大和自動車と台湾大車隊が業務提携。
12月11日 日本台湾交流協会台北事務所が中華民国柔道総会と表千家青嵐会台湾支部を表彰。
12月13日 青森県と台日商務交流協進会、台北市進出口商業同業公会が「経済交流覚書」を締結。
12月20日 ジャパンタクシーと台湾のタクシー・ゴーが配車アプリで連携。