7月22日、岩手県との境にある青森県三戸町(さんのへまち)の目時(めとき)駅と青森駅を結ぶ青い森鉄道と台湾交通部管轄の台湾鉄路管理局縦貫線(台中〜高雄間)が「姉妹鉄道協定」を締結しました。
締結式は台鉄・台北駅1階のコンコースで行われ、三村申吾・青森県知事と林佳龍・交通部長が立ち合い、千葉耕悦・青い森鉄道代表取締役社長と張政源台鉄局長が署名しました。
青森県のホームページ掲載のプレスリリースでは、締結の目的について「沿線人口の減少により、今後旅客収入が減少することが見込まれる中にあって、右肩上がりの外国人観光客に青い森鉄道を利用してもらうため、国籍別で最も多くの観光客が訪れている台湾の国鉄に当たる台湾鉄路と青い森鉄道が連携して、相互誘客と観光交流を行うこと」としています。
青い森鉄道の経営は順調なようで、去る6月に開いた取締役会では「当期純利益は計画を3659万4千円上回る6877万6千円で、8年連続単年度黒字を確保。県に対して5億778万4千円の線路使用料を全額支払うことができ、2年連続の実質黒字となった」(6月6日付「Web東奥」)と伝えられていて、黒字経営の勢いを駆って、旅客収入の減少がはじまる前に「右肩上がりの外国人観光客に青い森鉄道を利用してもらう」という戦略のようです。
この提携で、日台の鉄道提携は1986年1月25日の大井川鐵道と阿里山森林鉄道の「姉妹鉄道」以来38件目となり、今年は6月23日の肥薩おれんじ鉄道と台湾鉄路屏東線・南廻線の「姉妹鉄道協定」に続く4件目となります。
心から祝意を表し、下記に中央通信社の記事や青い森鉄道と青森県が出したプレスリリースと「訪日ラボニュース」をご紹介します。
また別途、本会調査による「日台『姉妹鉄道』一覧」をご紹介します。
◆中央通信社:台湾鉄道と青い森鉄道が姉妹鉄道協定 相互誘客を促進[7月23日]
台湾人を「青い森鉄道沿線」に誘客 台湾鉄路と姉妹鉄道協定を締結
【訪日ラボニュース:2019年7月22日】
◆増加するインバウンドに期待
青い森鉄道株式会社(以下、青い森鉄道)は、7月22日、台湾から訪れるインバウンドに青い森鉄道を利用してもらうため、台湾鉄路と姉妹鉄道協定を締結しました。
今回の締結路線である青い森鉄道全線(青森〜目時間121.9キロメートル)と、台湾鉄路縦貫線(台中〜高雄間206.5キロメートル)は、地域の公共交通機関として重要な役割を担っている幹線路線です。
また、両社が運行する地域は、経済や文化振興に大切な地域。また、農業や水産業が盛んであるなど、産業の特性も類似しています。
◆鉄道沿線に台湾人を誘客
青い森鉄道沿線では、人口が減少しており、今後旅客収入が減少することが見込まれています。
一方、インバウンド数は、増加傾向が続いており、なかでも台湾から訪れるインバウンドが最も多いことから、今回、台湾の国鉄に相当する「台湾鉄路」と連携することで、観光交流や誘客を図ることにしました。
今後、両社は、台湾と青森のそれぞれの魅力や観光案内、互いの交流を紹介するパネルを駅や列車内に展示するほか、メディアやSNSを通じた情報発信を行います。
また、青い森鉄道では、多言語での案内やフリーWi-Fiサービスの拡充のほか、青い森鉄道のポケット時刻表(繁体字バージョン)制作などを実施する予定です。
なお、締結式は、7月22日、台北駅1階コンコースにて開催します。記念品の交換や、記念撮影等を行います。