1月11日に投開票が行われた台湾の総統・立法委員選挙において、総統選挙では民進党の蔡英文・頼清徳候補が817万231票(57.1%)を獲得し、中国国民党の韓國瑜・張善政候補に264万票以上の差をつけて圧勝した。
立法委員選挙でも、野党第1党の中国国民党は3議席を増やして38議席を得たものの、与党の民進党は過半数の57議席を上回る61議席となり、総統と立法委員のダブル選挙を制した。
本会も「2020年 総統・立法委員選挙視察ツアー」に39人が参加し、台南と高雄を訪問して立候補者の話を直接伺い、また蔡英文候補の10日の夜の集会も視察した。
蔡英文氏が総統選挙で再選されたことを受け、その夜、茂木敏充・外務大臣は祝意を表す下記の談話を日本語と英語で発出した。
1 1月11日,台湾の総統選挙において蔡英文(さい・えいぶん)氏が再選されました。民主的な選挙の円滑な実施と同氏の再選に祝意を表します。
2 台湾は我が国にとって,基本的な価値観を共有し,緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーであり,大切な友人です。政府としては,台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの立場を踏まえ,日台間の協力と交流の更なる深化を図っていく考えです。
3 台湾をめぐる問題については,当事者間の直接の対話により平和的に解決されること,また地域の平和と安定に寄与することを期待します。
◆外務省HP:台湾総統選挙の結果について(外務大臣談話)[1月11日]
また、同じくこの夜の10時過ぎ、日本台湾交流協会台北事務所の泉裕泰代表も日本台湾交流協会の公式フェイスブックに中国語と日本語で祝意を表し、「日台関係を更に一層の高みに推し進めるよう,全力を尽くす所存」と高らかに意気込みをつづった。
<このたびの台湾における民主的な選挙の成功裏の実施と,蔡英文総統の当選に,日本台湾交流協会台北事務所を代表して衷心からの祝意を表します。
着任ご挨拶の際,蔡英文総統からは,ともに日台関係の新しい時代を切り拓いていきましょうとのお言葉をいただきました。
本職といたしましても,蔡英文総統と引き続き協力できることを心強くかつ光栄に思うとともに,日台関係を更に一層の高みに推し進めるよう,全力を尽くす所存であります。>
◆日本台湾交流協会facebook:泉裕泰・日本台湾交流協会台北事務所代表[1月11日]
さらに、当選翌日の12日には、日本台湾交流協会の大橋光夫会長は蔡英文総統に直接祝意を伝えるため総統府に蔡英文氏を表敬訪問している。その模様は、総統府のホームページに4枚の写真とともに掲載されている。
菅義偉・内閣官房長官も1月14日、閣議後の定例記者会見において「日台間の協力と交流のさらなる深化を図っていきたい」と述べ、目新しさはないが、改めて日本政府の台湾に対する見解を示した。この会見では、中国政府から抗議があったことも明らかにしている。NHK「NEWS WEB」の記事を紹介したい。
それにしても、蔡英文氏の総統当選を祝福する日本政府に抗議するとはなんともえげつないやり口だ。品性下劣とはこのことだろう。中国政府は、馬英九氏が総統に当選したときには祝意を表して祝電を送っているのだ。わかりやすいと言えばわかりやすいが、自己中そのものだ。
茂木外務大臣が述べた「当事者間の直接の対話により平和的に解決されること,また地域の平和と安定に寄与することを期待します」とは、日本政府の公式見解だ。
それなら、中国の習近平主席が昨年1月2日の「台湾同胞に告げる書」発表40周年記念大会で、「一国二制度」による台湾統一に言及するとともに「われわれは、武力の使用を放棄することを約束せず、あらゆる必要な措置を取る選択肢を保有する」と堂々と宣言したのだから、中国からの抗議に、日本政府は「台湾への武力行使発言を撤回せよ」「発言を撤回しないなら、国賓としての来日招請を取り止める」とくらい返すべきではなかったのか。
「台湾との協力と交流 深化を」蔡総統再選受け官房長官
【NHK NEWS WEB:2020年1月14日】
台湾の総統選挙で蔡英文総統が再選されたことについて、菅官房長官は台湾との非政府間の実務的な関係を維持するとした従来からの日本政府の立場を踏まえ、協力と交流をさらに深めていきたいという考えを示しました。
今月11日に行われた台湾の総統選挙では中国に対抗姿勢を示す蔡英文総統が過去最多となる800万を超える票を獲得して再選されました。
これについて菅官房長官は閣議のあとの記者会見で「台湾は基本的な価値感を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーであり大切な友人だ。政府としては台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくという従来からの立場を踏まえ、日台間の協力と交流のさらなる深化を図っていきたい」と述べました。
一方、蔡総統の再選を巡り、アメリカや日本などの政府高官が祝意を表したことに中国が反発していることに関連して、菅官房長官は中国側から抗議があったことを明らかにしました。