台湾出身の方が日本人と結婚したり、日本に帰化した場合、戸籍の国籍や出生地は「中国」「中国台湾省」などと記されます。「中華人民共和国」と記される場合もあり、台湾出身者を中国人としているのが日本の現在の戸籍制度です。
本会は2010年11月以来、この戸籍問題の解決に努め、法務大臣に、民事局長通達を出し直し、台湾出身者は「台湾」と表記するよう強く要望してまいりました。
第20期となる署名活動が昨年12月末に終わったことから、昨日(1月8日)、本会の渡辺利夫会長は川上陽子法務大臣に「台湾出身者の戸籍表記是正を求める要望書」を賛同署名とともに送達しました。下記に要望書をご紹介します。
実は、法務省内でも戸籍を担当する民事局と在留カードを担当する入国管理局(2019年4月1日から出入国在留管理庁)では見解が異なります。民事局は先述したように台湾出身者を「中国」表記し、出入国在留管理庁は「台湾」と表記しています。
法務省の統計資料などでは、中国と台湾を区別して表記しているのですが、民事局だけ「中国」のままになっています。同じ法務省内において台湾出身者の国籍表記が違うなど常識では考えられないことですが、これがまかり通っているいびつな現状なのです。
私どもは法務省民事局が台湾出身者を「台湾」に改めるまで、この活動を続けて参ります。いっそうのご支援をお願いします。
◆本会ホームページ:台湾出身者が「中国」とされている戸籍問題の解決を!
◆本会のネット署名にご協力を!
*署名に国籍制限はありません。誰でも、世界中どこからでも署名できます。
*本会署名は、氏名及び住所の記載を要請する請願法に基づいた正式署名です。
令和3年(2021年)1月吉日
法務大臣 川上陽子殿
日本李登輝友の会会長 渡辺 利夫
台湾出身者の戸籍表記是正を求める要望書
私ども日本李登輝友の会は、文化交流を主とした日本と台湾の新しい関係を構築することを目的として活動している民間団体です。
法務省はこれまで、台湾出身者が日本人と結婚したり帰化した場合、戸籍の国籍や出生地を「中国」や「中国台湾省」と表記してきました。中国とは中華人民共和国のことであり、中国台湾省とは中華人民共和国の行政区を指します。すなわち、台湾出身者を中国人としているのが現在の戸籍制度です。
戸籍において、台湾出身者の国籍を「中国」としたのは、昭和39年(1964年)6月19日付で出した法務省民事局長による「中華民国の国籍の表示を『中国』と記載することについて」という通達でした。このことは政府も、
平成23年(2011年)8月19日付で出した菅直人総理の「答弁書」で明確に認めています。
昭和39年といえば、いまから57年も前、アジア初のオリンピックが東京において開催された年で、日本が中華民国と国交を結んでいた時代のことです。しかしその後、日本は中華民国と断交して中国と国交を結ぶなど、日本と台湾・中国の関係は大きく変わってきています。
日本政府は、平成17年(2005年)9月に台湾観光客への査証(ビザ)免除を恒久化し、2年後の平成19年(2007年)9月には台湾と自動車運転免許証の相互承認を行い、台湾と中国を区別した対応をしています。
また、平成24年(2012年)7月9日には、外登証を廃止し新たな在留カードの交付に際して「国籍・地域」欄を設け、台湾出身者を「中国」から「台湾」に変更して明記するようになりました。同時に実施した外国人住民基本台帳でも「国籍・地域」欄を設け、台湾出身者を「台湾」と表記するようになり、台湾が官民挙げてこの措置を歓迎していることは周知の通りです。
ましてや、これまで中華人民共和国は台湾を統治した事実はなく、台湾を自国領と主張するのは、尖閣諸島を自国領と主張することと同じで、中国の政治宣伝に他なりません。事実、これまで日本は中国の主張を認めたことは一度もありません。それにもかかわらず、この状態を放置しておくことは、中国が主張する「一つの中国」を日本が承認している証と見做されかねません。
法務大臣は台湾出身者の悲痛な声に耳を傾け、台湾人の人権を守り、入国管理局と民事局の整合性や法務省統計との整合性を図るため、在留カードや外国人住民基本台帳にならって早急に民事局長通達を出し直し、台湾出身者を「中国」ではなく「台湾」と表記するよう強く要望します。
併せて、ここに私どもの要望に賛同する署名(第20期)104人分を呈します。この賛同署名は、平成23年11月の第1期以来、昨年12月の第20期まで3万8,240人分の署名を要望書とともにお届けしていることを申し添えます。