2016年からの蔡英文政権で副総統をつとめた陳建仁氏は、誠実で飾らない人柄で知られる。米国のジョンズ・ホプキンス大学で博士号を取得した公共衛生や砒素(ひそ)中毒研究の第一人者でもある。副総統は退任後に恩給の受給や送迎車などの待遇が与えられるそうだが、それを辞退して中央研究院での研究に戻っている。台湾の副総統経験者でこの待遇を断ったのは陳氏が初めてだという。
李登輝元総統の後継として李登輝基金会の第2代董事長をつとめる次女の李安[女尼]氏は4月16日、陳建仁・前副総統が李登輝記念図書館準備委員会のキュレーターに就任することを明らかにしたという。
キュレーターとは耳慣れない言葉だが、学術的専門知識をもって業務の管理監督を行うそうだ。
李登輝元総統は「誠實自然」という言葉が好きで、色紙にもよく揮毫していた。自ら「指導者にとってもっとも重要なのは『誠實自然』だ。『誠實自然』とは信頼、誠実、正直をモットーとすることだ」と話していた。
陳建仁・前副総統の李登輝記念図書館準備委員会のキュレーター就任は、まさしく願ってもない人を得たと言える。李元総統はプロテスタントの長老教会で、陳建仁氏はカトリックと違いはあれど同じクリスチャン。台湾大学でも李元総統と学部こそ違え後輩にあたり、記念館はその台湾大学の旧法学部図書館跡に建てられる。
李登輝元総統の記念図書館 キュレーターに陳建仁前副総統
【中央通信社:2022年4月17日】
北部・台北市に設置が計画されている李登輝(りとうき)元総統を記念した図書館について、李元総統の次女で、李登輝基金会の李安[女尼]董事長(会長)は16日、陳建仁(ちんけんじん)前副総統を同館準備委員会の管理責任を負うキュレーターに招いたと明らかにした。
この日、李元総統関連のイベントに出席した安[女尼]氏は、台湾大の旧法学部図書館の建物を修復して「李登輝紀念図書館」とすることに触れ、総工費の算出を行っていると説明。今後寄付金を集め、2~3年以内に設立したいと語った。
安[女尼]氏によると、建仁氏の父親である陳新安氏は李元総統と交流があり、直接話し合った際にキュレーターへの就任を依頼したところ、建仁氏が快諾したという。
安[女尼]氏は、かつて李元総統が建仁氏を「正直で立派な人間だ」と評価していたエピソードも紹介。図書館は民主主義や人権などをテーマにしたものになるとし、フォーラムや展示などを行う方針を示した。