平成13年(2001年)4月、日本と台湾の関係を象徴する事件が起きました。台湾の李登輝前総統の来日です。この来日問題では査証発給を巡って、日本政府が、台湾への武力攻撃を辞さないと公言している中国(中華人民共和国)に配慮してビザ申請を受理しなかったという不誠実な対応が明らかとなりました。
これに対し、日本の立場に配慮を重ねてきた李登輝氏自身が日本の姑息な措置に激怒されたのも当然でした。結果的に査証が発給されたのは、心臓病の治療という人道的な観点からでしたが、日台の心ある人々の支援があったからであり、また、日本政府が万一発給を拒否した場合、独立国としての権威とともに世界の物笑いになることに気づいたからというのが衆目の一致するところです。
李登輝氏はよく「現代の偉人」「哲人政治家」と讃えられますが、この経緯にはその片鱗を垣間見ることができます。また、台湾の民主化と本土化を推進する精神的指導者として仰がれ、「台湾の父」とも称される李登輝氏が、日本と台湾の絆を象徴するかけがえのない存在であることを証していたのではないでしょうか。李登輝氏が日本へ寄せる期待には並々ならぬものがあります。
国の衰退は外憂よりも内患によることが多いのは歴史の教えるところです。先の査証発給問題のような事件を日本で起こさせないようにし、また、日本と台湾がこれまで続けてきた豊かな民間交流を先細りさせないため、台湾側関係者からの希望もあり、ここに有志が相集い、日台親善を象徴する李登輝氏の名前を冠した「日本李登輝友の会」を設立し、全国活動の母体としての役割を担っていくことといたしました。
因みに、台湾では日本語世代の高齢化が進み、世界一の親日国も徐々にその様相を変え、反日教育を受けた世代が台湾社会の中枢を占めつつあります。そこで、日本留学経験者や知日家などが大同団結して、民間の力で台湾と日本の交流を進めることなどを目的とした組織が発足しようとしています。
本会はこのような台湾の情勢も視野に入れ、設立趣旨の下、日本と台湾の豊かな交流を検討し、下に掲げる諸活動を鋭意実践してまいります。多くの国民の皆様のご理解とご支援を期待申し上げる次第です。
一、文化交流を主とした新しい日台関係を構築するため、日本と台湾の交流の歴史を振り返って問題点を明らかにし、 その是正に向けた提言を機関紙や講演活動などを通じて発表する。
二、李登輝前台湾総統の来日を関係各所に働きかけ、念願の「奥の細道」散策を実現する。
三、この目的を達成するため、全国に支部を設けるとともに、本会の趣旨に賛同する日台の友好団体、国会議員、 地方議員との協力関係を結び、新日台関係の構築に必要なあらゆる活動を積極的に展開する。
平成14年(2002年)12月15日
日本李登輝友の会