平成19年3月3日(土)~6日(火) 31名(小川英子団長)
第6回李登輝学校研修団(小川英子団長)が多大な成果を得て帰国!
~李登輝前総統が「正常化すべき台湾の国家形態」と題して1時間半にわたり講義~
昨日(3月6日)夜遅く、第6回台湾李登輝学校研修団(小川英子団長、31名参加)が台湾から多大な成果を得て無事に帰国いたしました。
今回も濃密な3泊4日の研修でした。特に最終日の昨日午前、すっかりお元気になられた李登輝前総統から「正常化すべき台湾の国家形態」と題して、約1時間半にわたってご講義いただいたことは、台湾の現状や台湾史のポイントを知るうえですこぶる有益でした。
講義の内容は多岐にわたったのですが、台湾民主化の最大のポイントにして第一歩が1991年5月1日に廃止を決定した「動員戡乱時期臨時条款」だったことを挙げ、その内容について詳しくご説明いただきました。
また、台湾が主権の独立した国家であることについても、国連に加盟しているとか国際的に認知されていなければ独立国家ではないのかについて、日本が国際連盟から脱退したことやスイスが国連に加盟していなかったことなどの例を上げ、「そのような国は主権独立国家ではなかったのですか。台湾は誰から、どこから独立するんですか。台湾は万年国会議員を辞めさせ、動員戡乱時期臨時条款を廃止し、凍結していた憲法を復活して修正してきて(実質的に中華民国体制から)独立した主権国家なんですよ」と声を大にして説明されました。しかし、独立国家としての台湾にはまだ憲法などいろいろと問題があるとして、ご自身が携わった憲法修正問題や台湾の民主化が停滞している現状についても詳しく説明されました。
印象的だったのは、日本統治時代、第4代総督だった児玉源太郎後の下で民政長官をつとめた後藤新平の事績について詳しく解説されたことです。特に組織論の面から重要なところに重要な人物を配したとして新渡戸稲造などを挙げ、時間があれば後藤新平についての本を執筆したいと話されたことでした。
修業式では李登輝前総統と一緒に記念写真を撮り、一人ひとりに修業証書を手渡していただき、その暖かい大きな手で握手していただいたことに、感激もひとしおでした。
マスコミ報道では、李登輝前総統が「大幅な政策転換を表明」「独立追求の主張を否定」「従来の立場を百八十度ひっくり返す発言」などと伝えられ、また最近は「親中派に転向した」などとする論考がオピニオン誌に掲載されましたが、特別講義や修業式のご挨拶で「私は一生を台湾に捧げてきた。それ以外にない」と明言されたことなどを直接お聞きしますと、いったいどこをどう押せばそのような見方ができるのか不思議でしょうがありません。
やはり、台湾にとって、そして日本にとっても、李登輝前総統は欠かすことのできない存在であることを改めて認識させられた今般の研修でした。