2008年 李登輝総統訪日

李登輝元総統が無事に帰台 日本政府の入国制限条件を完全突破
尖閣発言も靖国参拝と同様の考え抜かれた上での発言

東南植物楽園にて

9月22日から講演などのために沖縄を訪問されていた李登輝元総統は、25日昼、無事に台湾に帰られた。

本会からも柚原事務局長をはじめ約30名が22日から沖縄入りして那覇空港で歓迎、台北からは李登輝元総統に早川友久理事が同行した。22日には那覇市内で李登輝学校日本校友会主催の歓迎会を開催、23日の講演会などに参加の後は24日の首里城見学などに同行し、最終日の25日に那覇空港でお見送りに臨んだ。

今回のご訪沖は2000年に総統を退任されてから4度目の訪日となるが、これまで日本政府は中国政府が李氏の日本訪問について「日中関係を根底から揺るがすことになる」とまで言い切って、日本政府にその入国を許可しないよう要求してきたため、暗に入国を制限する4条件(記者会見しない、講演しない、政治家と会わない、東京を訪問しない)を設けていた。

しかし、昨年5月の来日では「政治家と会わない」以外の条件をクリアし、その他にも、ノービザでの初来日、念願の「奥の細道」散策、靖国神社初参拝、中国政府の不干渉などを実現された。

そして今回の沖縄訪問では、24日昼、東南植物楽園で仲井真弘多・沖縄県知事と懇談し、初めて公の場においての政治家との面会も実現された。

つまり、平成13年(2001年)にビザの発給を巡ってもめ、中国政府や河野洋平外相、槇田邦彦・アジア大洋州局長など国内の抵抗勢力が頑強に抵抗して設けた4条件の最後の条件を見事にクリアし、日本訪問が完全に自由となった点で大変意義の深いご訪沖だった。

さらに、仲井真知事との会談のときには、台湾と中国が領有権を主張する尖閣諸島について「日本の領土だ」と明白に述べ、領有権や漁業権の問題は存在しないとの見方を示された。この席には、沖縄県庁関係者以外にも、外務省「モンゴル・中国課」で台湾班班長だった交流協会の総務部長なども同席していた。

そのような中での発言だったが、これは昨年の靖国神社参拝の衝撃に通ずる李氏ならではの独特のショック療法であり、尖閣問題を政治問題化しようとする台湾の馬英九政権や中国政府への牽制だったにちがいない。報道の中には「李氏の発言は台湾で議論を呼びそうだ。中国が反発する可能性もある」などと、その真意を読み違えた記事を書いているが、靖国参拝と同様、李氏の思惑どおり台湾も中国もこの尖閣発言には黙したままだ。タイミングと影響力を考え抜かれた上での発言だったことがよく分かる。

このように、今回のご訪沖で入国制限を完全に突破したことと、尖閣問題について効果的に発言したことの意義は大きい。

もちろん、どちらかと言えば南方向きの沖縄の地において、明治維新の意義を福沢諭吉の『学問のすゝめ』から説き起こし、「日本文化の特徴」について講演されたことの意義も忘れてはなるまい。1,500名も集まった沖縄コンベンション劇場の熱気は、今後の沖縄と台湾の絆を深めるきっかけとなるだろう。

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