2001年6月に日本でスタートした「正名運動」は台湾本土に飛び火し、今や政治運動の主流となっています。
2003年5月に台北で行われる予定だった台湾正名運動はSARS禍により9月6日に延期して実施されました。「正名運動」の最大の目的は、母なる台湾の国名を「中華民国」から「台湾」に正すことであり、母の日である5月11日を当初の予定として選んでいたのです。
9月6日に改めて実施された正名運動は、当初の目標であった10万人を遥かに超える15万もの人々が総統府前広場に結集し、国名を正すように求めました。この正名運動には台湾全島はもちろん、日本をはじめとして海外からも多くの方々が参加しました。
本会では小田村四郎副会長(当時)を団長として記念すべき第1回の公式訪問団を結成し、正名運動に参加。当夜は圓山大飯店で開かれた晩餐会にご招待を受け、李登輝前総統ご夫妻も臨席されました。
晩餐会の席上、日本からの公式訪問団団長を務める小田村四郎副会長から謝意と台湾への激励のメッセージが発表されました。
台湾正名運動への激励のメッセージ
李登輝先生、511台湾正名運動連盟の皆様、そして台湾全国民の皆様、この度我が「日本李登輝友の会」は代表団を結成し、台湾を応援する日本人の心をお伝えするため台湾正名運動に参加します。
日本政府は、1972年の日中共同声明で中華人民共和国を「中国の唯一の合法政府」と認めたため、中国の正統政府であることを主張する中華民国政府と国交を断ったまま現在に至っています。我が国と最も密接な関係にある台湾と我が国が今なお正規の外交関係を持てないことは、日本国民として断腸の思いです。しかし今日、台湾が2300万人の人口を擁する堂々たる独立主権国家であることは、何人も否定することのできない客観的事実です。
従ってこの現実を直視し、これに即した台湾政策を求める声が国民の間で高まりつつあり、また「日本李登輝友の会」もそれを強く主張しております。
しかし、台湾が自ら「中華民国」を名乗り、広大な中国大陸を自らの版図とする「一つの中国」の原則を放棄せず、また少なからぬ国民が自らを「中国人」と規定して怪しまない現実がある以上、我が国政府が姿勢を転換することは非常に困難であることも事実です。これは我が国だけでなく、他の外国にも言えることです。
他方多くの日本人は、台湾及び台湾人に格別の親しみを感じ、我が国の最良のパートナーと考えております。そして、外来政権支配を脱しての民主化、本土化という動きにも関心と理解を持ち、李登輝先生がかつて「新台湾人」と呼ばれたように、「中国」ではなく「台湾人の台湾」を目指す新たな国造りを、共感を以って見守っております。李登輝先生は「正名こそ台湾の国家正常化の唯一の方法である」と言われましたが、これは何人も否定しようのない全くの正論なのです。
日本人から見れば台湾人はあくまでも台湾人であり、中国人とは明らかに異なっております。そして世界の中でも優れた先進文明を身に付け、心の清らかな尊敬すべき民族なのです。是非とも台湾人自らがこのことに誇りを抱き、台湾へのアイデンティティをさらに強化し、堂々たる「台湾国」を築き上げることを心から期待しております。
台湾万歳!
2003年9月6日
日本李登輝友の会「台湾正名運動」訪台団団長 小田村 四郎