『台湾紀行』の「老台北」 蔡氏ら靖国参拝
司馬遼太郎の名作『台湾紀行』の中で、博識の愛国者「老台北(らおたいぺい)」として登場する蔡焜燦(さいこんさん)氏(77)らが十日、靖国神社に昇殿参拝し、台湾出身の元日本兵としての戦後に一つの区切りをつけた。
蔡氏は戦時中、「陸軍少年飛行兵」を養成した難関の岐阜陸軍航空整備学校の奈良航空教育隊に入校、整備兵生徒として教練を受けた。戦後、台湾に戻り、同窓会組織をつくったが、中国国民党政権下では表立った活動ができず、台湾が民主化された後の二〇〇〇年四月、日本の「少飛会」にならって「台湾少飛会」を作り、会長を務めてきた。しかし、日本の少飛会が昨年、会員の高齢化から解散。台湾少飛会も今月十五日に解散することを余儀なくされた。
蔡氏らはこの日の昇殿参拝で、靖国神社に祭られている台湾出身の元日本兵二万二千余人に追悼の誠をささげるとともに、戦友らに会の解散を報告。参拝後、同神社に会旗を奉納した。
蔡氏ら一行は、「日本李登輝友の会」の小田村四郎会長ら日台友好に努める日本側関係者約七十人が出迎え、ともに昇殿参拝した。