大分県日田市大山町にあるリゾート施設「ひびきの郷」に、日台友好の祈念碑として、李登輝前総統の揮毫になる「真實自然」の文字を刻み込んだ大理石の祈念碑が建立された。また、祈念碑の脇には李前総統の武士道精神を称揚して「李登輝桜」と命名された桜樹も植栽された。

花曇りながら桜満開の4月9日、その除幕式が、周碩頴・駐福岡総領事、大矢野栄次・福岡李登輝友の会支部長などの関係者をはじめ、「ひびきの郷」の設立運営者である三笘善八郎前大山町長ほか100人余の町民が参加して盛大に挙行された。

旧大山町(現日田市大山町)は2004年11月24日、隣県の福岡市に所在する福岡李登輝友の会及び台湾研究会の仲介により、台北県烏来郷との間で友好交流宣言書を交換調印し、友好交流町となった。李登輝前総統を尊敬し、福岡李登輝友の会理事でもある三笘前大山町長は、この歴史的な慶事を記念するため、同会を通じて李前総統に揮毫を依頼、後日ほどなくして「真實自然」の揮毫が贈られてきた。

三笘前町長は、日台友好親善の深化と発展を願い、「ひびきの郷」構内に祈念碑を建立することを思い立ち、町内外の賛同者からの浄財を得て、白大理石の石碑(縦140㎝、幅60㎝、厚さ20㎝)を完成させた。石碑の表面は五層重ねになっていて、「真實自然」の意味するところが静かな波紋となって、ここ大山から世界五大陸に波及して行くことを願った、と製作者である大山石彫工房の社長は語っている。

この日、幕引きの大役を担ったのは台北から招かれて来町した、『日本人はとても素敵だった』を出版して日本にも多くのファンを持つ女流作家、楊素秋さん。町内の小学生で構成し、九州大会などで金賞を得ている大山ジュニアマーチングバンドの子供たちがファンファーレを演奏する中、幕が引かれて墨痕鮮やかな石碑が現れると、期せずして参加者から歓声と大きな拍手が沸き起こった。参加者の一人は「一国の大統領であった方が、こんな小さな町のために立派な揮毫を贈ってくださるとは、驚きと感激です」と、興奮の面持ちで語った。

この祈念碑と桜樹は、年間50万人超の「ひびきの郷」来訪者を出迎える入口広場に位置しており、多くの人々に、末永く、李登輝閣下の精神と、烏来郷との深い友情を伝えることになるが、大山町では多くの台湾からの観光客も、ここ「ひびきの郷」を訪ねてくれることを期待している。

福岡県支部事務局長 永嶋直之