1月31日に発売された台湾の週刊誌「壹週刊」における李登輝前総統のインタビュー記事について、翌2月1日付の本会メールマガジン『日台共栄』第457号でも共同通信と朝日新聞の記事を掲載した。
一連の報道では、李登輝前総統が「大幅な政策転換を表明」「独立追求の主張を否定」(共同)、「従来の立場を180度ひっくり返す発言」(朝日)、「方針転換を表明」(日経)とあったが、いったいどこをどう読んだらこのような報道になるのだろうか、と訝しさばかりが残った。後で「壹週刊」の記事を確認して、本誌でコメントを付けずに紹介したことを悔いている。
李登輝前総統は「大幅な政策転換を表明」もしていなければ、「従来の立場を180度ひっくり返」してもいない。「壹週刊」で、台湾は正常な国家とは言い難く、正名運動も制憲運動も必要だと明確に述べられている。翌日のTVBSというテレビのインタビューでも「今日の台湾に見合った憲法が存在しておらず、国号を(台湾に)変更する必要がある」という見解を改めて表明されている。
李登輝前総統は微塵もぶれていない。その見識の深さに新聞記者の理解がついていけないか、色眼鏡で見ているかのいずれかだ。
本会メールマガジン『日台共栄』編集長 柚原正敬
台湾でもインタビューに関する報道が流れているので下記に紹介する。
・「今日の台湾に見合った憲法が存在しておらず、国号を(台湾に)変更する必要がある」
【2007年1月31日・TVBS】
・李登輝前総統が反論。「私は、そんな発言はしていない。」 自由時報への単独インタビューで。
【2007年2月4日・自由時報】
・金美齢・前国策顧問が台北入りして反駁。「李登輝前総統の改心は無い。私は李氏を信じている」
【2007年2月6日・東森新聞】
・黄昭堂・台湾独立建国聯盟主席が李氏を直接訪問して確認。「李登輝對台灣國家正常化,正名制憲這些運動,他的態度都沒變,完全沒變。(李氏は台湾の国家正常化と正名運動の推進を主張。その発言に全くの改変は無い。)」
【2007年2月6日・TVBS】