【秋田県にかほ市象潟町/蚶満寺】李登輝前総統ご一行は6日朝、秋田県田沢湖畔の投宿先を発ち、「奥の細道」最北の地である象潟の蚶満寺を訪れた。田沢湖町から象潟までの移動中は訪日されてから初めての雨模様。一時は視界が悪くなるほどの大雨だったが、日本海沿いの国道7号線を南下する頃には雨は上がり、晴れ間も見えて来た。6月2日は太平洋側の松島を訪問、6日には日本海を見たということで、東北の地を東から西へ横断したことになる。
地元市民が歓迎の小旗を振る中、横山昭・にかほ市副市長、にかほ市立共同資料館の斉藤一樹・学芸員に迎えられた李登輝前総統ご一行は、境内の菖蒲園や松尾芭蕉像をご覧になった。
山門前の参道は300年前に芭蕉が歩いた当時とほとんど変わっていないそうで、苔生す道や山門を見上げ、李氏も感慨深そうに眺められていた。住職の出迎えを受けた一行は、本堂を拝観された後に昼食を召し上がられる。
昼食後、秋田自動車道で秋田市内へ戻り、午後は秋田国際教養大学で講演される予定。
【秋田県秋田市/国際教養大学】李登輝前総統は、14時から秋田市内の秋田国際教養大学で「日本の教育と台湾 私が歩んだ道」と題した講演を行った。
講演は学長を務める中嶋嶺雄氏の授業「グローバル概論」の特別講座として行われ、学生のほか、満員の聴衆250名が詰め掛けた。
李氏は1時間の講演を立って行い、84歳とは思えぬ力強い声で、時には手振りを交えて聴衆に語った。「日本の教育なかりせば、台湾の近代化と、ここにいる李登輝という人間は無かったであろう」と語る李氏に、盛大な拍手が送られた。
講演後、学内を見学された一行は、華道の授業を見学。「この授業は何流ですか」と問う李氏に講師の先生が「池坊です」と答えると、「うちの家内も池坊と、あと草月流だったね。免状も持っているんですよ」と紹介。講師の先生は「恐れ入りました」と一言。
また、全授業が英語で行われるとあって、全世界から留学生が集まっており、華道の授業にも多彩な顔ぶれ。李氏は流暢な英語で学生に出身を問い、華道の感想を尋ねていた。また、台湾出身の交換留学生も出席しており、元智大学から昨年9月に交換留学に来た何芝頴さんは、李氏に話しかけられ、緊張を隠せずにいた。
同じ華道を嗜む者同士ということで曾文恵夫人と講師の先生方は話が弾み、笑顔で参観されて教室を後にされた。
李登輝前総統は、この後、台湾からの留学生と歓談。学内で記者会見を行った後、秋田空港17時15分発・羽田行きの全日空NH878便で東京に戻られる。
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