20080616台湾外交部の命により、召還された許世楷・駐日代表(駐日大使に相当)が16日、即刻辞任を表明した。

15日に帰台した許代表は翌16日に立法院(国会に相当)において衝突事故の経緯や日本政府との交渉過程を説明したが、その席上、国民党立法委員(国会議員)から、「日本寄り」、「台奸(台湾の敵)だ」などと激しく非難されたことに激怒、「士可殺不可辱(志ある者、殺されても、辱めは受けない)」として即刻の辞任を表明した。

許代表は国民党への政権交替の直前、5月19日に辞表を提出していたが、後任がまだ決まっておらず慰留されていた。6月1日には東京都内で800名以上を集めての送別会も開催されており、後任の決定と帰任の辞令を待つばかりだった。

17日昼には、国民党幹部の「平和的解決へ」の発言により、事態は収拾される見込みだが、許代表が日本の永住権を所持していることまで槍玉に挙げるなど、個人攻撃は依然として続いている。国民党は許代表がなぜ日本での永住権を取得しなければならなかったかの理由を胸に手を当ててよく考えてもらいたい。

許代表は国民党独裁時代に台湾独立運動に携わり、政治犯として日本での亡命生活を余儀なくされた。2004年の代表就任後、台湾人観光客に対する訪日査証(ビザ)免除や日台相互の自動車運転免許承認の実現に尽力した。

今般の辞任により、羅福全氏、許世楷氏と二代続いた知日派代表の後任に、馬政権は誰を派遣するのか耳目を集めるところだ。