「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」がNHKに意見書を提出予定
NHK「JAPANデビュー」問題はどんどん拡大しているようだ。20日発売の「夕刊フジ」が「NHK『偏向報道』政界に波及」との見出しの下、「自民党の保守系議連『日本の前途と歴史教育を考える議員の会』(会長・中山成彬元文科相)が近く、同局に質問形式の意見書を提出することが20日、分かった」と報じている。
国会議員で構成する議員連盟は「要望書」「質問所」「意見書」などの形で対象機関に対応するが、「意見書」はもっとも強い形だ。
「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」は、いわゆる「従軍慰安婦」問題が起こったとき「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」として、中川昭一議員が会長となって平成9年(1997年)2月に発足している。「教科書議連」とも呼ばれ、『歴史教科書への疑問』という本も出している。平成16年には「メンバーの大部分が若くもない」ということで「若手」が取れ、現在の名称に変更している。中川昭一、下村博文などの会長の後を受け、平成18年12月、会長に就任したのが文部科学大臣をつとめた中山成彬議員だ。
今後、日台関係を促進しようと国会議員で作る自民党の「日本・台湾 経済文化交流を促進する若手議員の会」(岸信夫会長、略称:日台若手議連)なども対応するとみられている。
NHK「偏向報道」政界に波及 5日放送「アジアの“一等国”」自民議連が意見書
NHK総合テレビが5日に放送した「NHKスペシャル シリーズJAPANデビュー第1回『アジアの“一等国”』」の内容に対し、有識者らが「偏向・歪曲報道」などと批判している問題で、自民党の保守系議連「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・中山成彬元文科相)が近く、同局に質問形式の意見書を提出することが20日、分かった。問題はついに政界に波及することになった。
■今週中にも提出 「日本が一方的に台湾人弾圧」日台双方で批判続出
番組は、日清戦争後の日本による台湾統治について、一等国を目指して統治の成功を海外に誇示したが、日台間の格差と同化という矛盾を抱え、やがて皇民化運動で日本文化を強制した─などと放送した。
これに対し、日台の文化交流を進める民間団体「日本李登輝友の会」(小田村四郎会長)は10日、「日本が一方的に台湾人を弾圧したとするような史観で番組を制作することは、公共放送として許されるべきではない」という抗議声明を、NHKの福地茂雄会長あてに提出した。
声明には、元タイ大使で外交評論家の岡崎久彦氏、京大大学院の中西輝政教授らの名前も。また、ジャーナリストの櫻井よし子氏は週刊新潮で「全篇が“歪曲報道”の連続」と指摘し、評論家の金美齢氏も「“偏向番組”の一語に尽きます」と批判した。
議連では、日台双方から同様の批判が続出していることを受け、NHKあての意見書を作成しており、今週中にも提出するという。NHKの予算は毎年度、国会で承認を得ることが放送法で決められている。
李登輝友の会の抗議声明に対し、NHKは14日付で、担当のエグゼクティブ・プロデューサー名で「(番組は)日本が最初の植民地とした台湾に、近代日本とアジアの原点を探り、これから日本がアジアの人々とどう向き合っていけばよいか、未来を生出きるヒントを探ろうとしたもの」「なにとぞ番組の趣旨をご理解いただきたいと思います」といった回答を寄せている。
だが、李登輝友の会の柚原正敬専務理事は夕刊フジの取材に「回答はとても納得できない。担当プロデューサーやディレクターにも出席してもらい、公開討論会を呼びかけたい」と話している。【4月21日・夕刊フジ】