7月7日、「開かれたNHKをめざす全国連絡会」という市民団体が予定どおり要望書をNHKに提出したようだ。また、日本ジャーナリスト会議も同日、論者による番組批判について「表現の自由そのものに対する恫喝(どうかつ)と干渉に当たる。ただちに中止するべきだ」とする見解を発表したという。
この「開かれたNHKをめざす全国連絡会」とは聞き慣れない団体名だが、元々は「開かれたNHK経営委員会をめざす会」(代表世話人:松田浩・元立命館大学教授、桂敬一・立正大学文学部講師、野中章弘・アジアプレスインターナショナル代表)が母体のようだ。
そのホームページでは「4人のNHK経営委員が選任・再任を迎える昨年12月に向け」「昨年9月から『NHK経営委員の公募・推薦制と古森重隆氏の不再任を求める申し入れ』の署名活動を始め」たようで、「署名運動の最終集計は、『NHK経営委員の公募・推薦制と古森重隆氏の不再任を求める』署名が15023筆、桂敬一・湯山哲守NHK経営委員候補への推薦賛同署名は、2061筆(日本ジャーナリスト会議集計分を含む)に達しました」と記している。
産経新聞ワシントン駐在編集特別委員の古森義久氏が「正論」8月号で指摘していることでもあるが、当時、「NHKは外国向けの放送では日本の国益を一切、主張しないという」立場だったが、NHK経営委員長だった古森重隆氏(富士フィルムホールディングス社長)は「『日本の公共放送が諸外国と利害の対立する問題について日本の国益を主張することは当然だ』と強調し、国際放送番組基準では少なくとも日本国憲法を指針とすべきだと提案した」という。
古森義久氏は、まさか「NHKの『日本否定傾向』がそこまでだとは知らず、この古森委員長の指摘にびっくり」し、自分の記事などで「公共放送が対外的には国益を意識し、擁護するのは当然の責務だと主張した」と書いている。
つまり、古森委員長の提案に反対して不再任を求め、新たに自分たちの仲間を経営委員にしようと目論んで署名活動を展開したのが「開かれたNHK経営委員会をめざす会」であり、日本否定派ということだ。なるほど、松田浩氏のインタビューが日本共産党の機関紙「あかはた」に掲載される理由も、これでよく分かるではないか。だから、経営委員会で「日台戦争」などというのは事実ではないから放送法違反だと主張した弁護士の小林英明委員にも抗議文書を出したのであろう。
いずれにしても、左翼勢力は「開かれたNHK」をスローガンに、NHKに人を送り込んで内部から牛耳ろうとしていることだけは明白だ。その団体の要望書である。福地茂雄会長としては、痛し痒しというところだろう。