今や『大江戸番太郎事件帳』、『献残屋』はたまた『菅原幻斎怪異事件控』などの時代小説作家として名を馳せている喜安幸夫(きやす・ゆきお)氏は、一方で『台湾の歴史』や『台湾島抗日秘史』の著者として、あるいは「台湾週報」の前編集長として台湾関係者にはよく知られた方だ。また、これまでに『日本中国開戦-激震襲う台湾海峡』や『新日中戦争-尖閣諸島を奪回せよ!!』(いずれも学研の歴史群像新書)など、日中が軍事衝突する近未来シミュレーション小説も発表している。
昨年7月末、その第3弾として『日中激戦2010-東シナ海艦隊決戦』を出版した。
上海万博の開催を目前にした2010年4月、尖閣諸島近海で遭難しかかった自衛官が見かけた怪しい光から物語ははじまり、中国が尖閣諸島へ侵攻を企て、迎える日本は自衛隊を真に戦える組織とするための新兵器の量産に入る。「鷹」と称される無人戦闘機(UAV)や「鮫」と称される無人潜航艇(UUV)など日本の最新兵器として登場する。そして、日本に新政権が樹立され、日本と中国の間で戦端が開かれる……。
この『日中激戦2010-東シナ海艦隊決戦』を原作に、このたび学研の歴史群像コミックスとして『日中激戦!!東シナ海-日・中・台震動2010』(作画:細井雄二)が出版された。
小説と違ってかなり単純化されているので、読みやすい。なぜ日本は中国の覇権主義、膨張主義に立ち向かうのかがよくわかる。
このシリーズには小崎原英敬(おざきばら・ひでたか)なる代表が率いる「日台フォーラム」なる台湾研究フォーラムを模したと思われる民間団体が出てきて、日台関係を結ぶ重要な役どころを担っているのも見逃せない。
■著者 喜安幸夫、細井雄二
■書名 日中激戦!!東シナ海-日・中・台震動2010
■体裁 四六判、並製、174ページ
■版元 学研(RGC歴史群像コミックス)
■定価 1050円(税込)
■発売 平成21年7月10日
■著者 喜安幸夫
■書名 日中激戦2010-東シナ海艦隊決戦
■体裁 新書、256ページ
■版元 学研(歴史群像新書)
■定価 980円(税込)
■発売 平成20年8月1日