李登輝元総統、六士先生の一人、平井数馬の墓参へ
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平井数馬の子孫、真理子さんから説明を受ける

李登輝元総統は8日午前10時、熊本市内にある平井数馬の墓を訪れ献花した。

平井数馬は、日本が台湾を領有して間もない明治28年(1895年)7月、はじめて設置された学校「芝山巌学堂」に赴任。翌年元日、暴徒に襲われて殉職した「六士先生」のうちの一人。殉職時、若干19歳だった。

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六士先生の教育への貢献について台湾メディアに台湾語で説明

墓所前では、福岡から11人の遺族も駆けつけた。平井数馬の兄のひ孫、平井真理子さんは、「台湾の総統にお参りしていただくなんて夢みたいだ。とても感激している」などと語った。

その後、李元総統は市内に建立されている平井数馬の慰霊碑を参拝された。

SONY DSC午前11時45分、李登輝元総統は熊本城へ到着。正門にあたる頬当御門(ほおあてごもん)で車を降り、天丸御殿などを参観された。

およそ1時間ほどの参観を終えた後、熊本城をバックに記者会見。熊本城の印象を問われると「とにかく加藤清正はすごいお城を作ったものだ。非常に面白いつくりをしている。誰かお城の建築の研究をしている人がいなかなぁ」と感嘆。

熊本来訪について、国民学校と中学校の時の恩師に熊本出身の先生が何人もおり、ずっと訪れたかった、などと語った。

本丸御殿から熊本城下の景色を眺める

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熊本城を背景に記者会見

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一行は熊本城近くの料亭「城見亭」で昼食。この日は気温も30度オーバー。李元総統は午後を休息にあて、18時から開催される「李登輝元総統ご夫妻を囲む会」に出席し、「台湾と日本百年来の歴史及び今後の関係」をテーマに講演される。

李登輝元総統、熊本で300人を前に講演 日台は心と心の絆を築く関係を

李登輝元総統ご夫妻は8日午後6時から熊本市内のホテルで開かれた、本会熊本県支部主催・日本会議熊本協賛の「李登輝元総統ご夫妻を囲む会」に出席。300人の出席者に万雷の拍手で迎えられて入場した。

SONY DSC会には、李元総統と京都大学の同級生である沢田一精・元熊本県知事や、山内新・元副知事らも出席して祝辞を述べた。

山内氏が副知事のとき、曾文恵夫人が熊本を訪れ、総統夫人として県庁にご挨拶したいとの申し入れに当初、県国際課は中国との関係を考慮して辞退を申し入れようとしたところ、山内氏が「せっかく来て下さるのにお断りするとは失礼な」と快諾したエピソードを披露。

訪問を受けた際、帰りぎわ、曾文恵夫人に「綺麗な日本語をお話しになりますね」と話すと、夫人は「私は元日本人です。私は誇りを持って日本語を話して来ました」と答えたそう。

李登輝元総統は「台湾と日本百年来の歴史及び今後の関係」をテーマに講演。日本と台湾は地理的な近さだけでなく、精神的にも非常に近いものがあると強調。今後、複雑化する国際社会や膨張する中国に対抗していくためには、日台が心と心の絆をよりいっそう深めていくことが大切、などと話した。訪日5日目の疲れも見せず、30分立ちっぱなしでの講演だった。

※本会HPに載せきれない写真、詳細レポートは2009年特集ブログをご覧ください。