李登輝元総統の9月5日に行った東京講演「この国に誇りと希望を!──竜馬の『船中八策』に基づいた私の若い皆さんに伝えたいこと」を、9月26日発売の月刊「WiLL」11月号が「日本は今こそ龍馬の『船中八策』を」とタイトルを変えて収録している。
その解説を国際教養大学学長の中嶋嶺雄氏が「日本の政治家への格調高き訓告」と題して寄稿している。
また、10月1日発売の月刊「正論」11月号も、この講演を「日本の若者たちよ、平成維新に立ち上がれ──台湾の民主化、自由化に尽くした哲人政治家が語る日本再生の『八策』」と題して掲載した。
すでに9月10日発売の月刊「Voice」10月号がこの東京講演をアレンジして「日本再建の『八策』 ── 一国のリーダーとして既得権者といかに戦うか」と題し、「緊急特集・民主党にこれだけは言いたい!」の巻頭論考として掲載している。
考えてみれば不思議なことだ。一人の政治家、それも外国人で、政界を引退してから10年近くも経とうとする政治家の講演を、日本の主要なオピニオン誌が収録している。小林よしのり氏も指摘するように「国家観・愛国心を明確に持ち、内政から外交まで、深い知恵と強靭な意志を持つ人物が、たまたま台湾に現れてしまったのだ!」ということなのだろう。また、いかに卓越した指導者が少ないかという証であろう。李元総統の根底に日本時代に培われた深い教養がある。李登輝未だ衰えず、の感を深くした。
なお、李元総統が今回の来日で講演したのはこの東京、そして高知と熊本の3回である。9月6日の高知は「竜馬の『船中八策』と台湾の政治改革──江口克彦社長の提言」、9月8日の熊本は「台湾と日本 百年来の歴史及び今後の関係」と題して講演している。
これまで日本李登輝友の会では、2007年の来日時の講演などは『李登輝訪日・日本国へのメッセージ』(まどか出版)、2008年の沖縄訪問は『誇りあれ、日本よ-李登輝・沖縄訪問全記録』(まどか出版)として単行本として出版している。
本会では近々、今回の来日もこれら3回の講演録も収録し、櫻井よしこ氏や小林よしのり氏など来日にかかわった方々にも寄稿していただき、単行本としてまとめる予定だ。どうぞご期待いただきたい。