20091209辞任を表明した齋藤正樹・交流協会台北事務所長の後任に、今井正・元沖縄担当大使(65歳)が決定した。

今井氏は山口県出身、東京大学経済学部卒、1969年外務省入省。アジア大洋州局北東アジア課長、外務大臣官房審議官、国際情報局長、駐イスラエル大使、駐マレーシア大使、沖縄担当大使を歴任し、今年6月に退官していた。台湾および中国での勤務経験はない。後任に有力視されていた谷野作太郎・元中国大使は、今井氏より8歳年長なのがネックとなり見送られたとされる。今井氏の同期には、宮本雄二・元中国大使、谷内正太郎・元外務事務次官、田中均・元外務審議官、藤崎一郎・駐米大使ら。

台湾では、今井氏が中国語が出来ないうえ、台湾・中国に関わる勤務経験がないことから、「意外な人事」と評する報道もある。しかし、今井氏をよく知る人は「温和な性格で、在外公館勤務中、駐在国からの評価も高い」、「北東アジア課長時代、南北朝鮮問題を扱ったり、国際情報局長時代にはアジア全体を掌握していたので(勤務経験がなくとも)問題ない」と評している。

また、羅福全・元駐日大使もインタビューに答え、「日本の国益からすれば、日台に中国を加えた三角関係は非常に重要。大使個人の素質だけで大きな影響が出るとは思えない。過去にも、内田勝久大使(故人)は台湾・中国に関する業務に未経験だったことがある。経験がないことは特に問題ではないだろう」などと述べている。

7日に開かれた交流協会理事会では、齋藤氏の辞任とともに今井氏の就任が正式決定。齋藤氏は20日に離台、今井氏は1月4日人事発令、20日前後に着任する予定。なお、黄昭堂・台湾独立建国連盟主席が主宰する齋藤大使の送別会が14日夜、台北市内のホテルで開かれる(中止)。16日の天皇誕生日レセプションが齋藤大使の花道となりそうだ。


今井 正(いまい ただし)

生年月日 昭和19年5月12日
出身地  山口県
最終学歴 東京大学経済学部

職歴
昭和43年3月  東京大学経済学部経済学科卒業
9月  外務公務員採用上級試験合格
昭和44年3月  東京大学経済学部経営学科学士退学
昭和44年 4月  外務省入省
昭和60年 7月  経済局書記官
昭和61年 5月  在アメリカ合衆国日本国大使館参事官
平成元 年 8月  アジア局北東アジア課長
平成 3 年 3月  アジア局地域政策課長
平成 5 年 1月  大臣官房外務参事官(国会担当)
平成 7 年 4月  大臣官房審議官(国会担当)
7月  在タイ日本国大使館公使
平成 9 年 8月  大臣官房審議官 兼 総合外交政策局
平成11年 7月  大臣官房領事移住部長
平成13年 1月  国際情報局長
平成14年 4月  在イスラエル国特命全権 大使
平成16年 4月  在マレーシア国特命全権大使
平成19年 9月  沖縄担当大使
平成21年 6月  外務省退職
平成22年 1月  (財)日本交流協会 台北事務所 代表