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高橋さんから保育所へ寄贈された自転車

■李登輝学校研修団同窓生の好田良弘さんが手渡す
3月30日、宮城県石巻市で被災した、コンビニを経営する本会会員で李登輝学校研修団10期生の高橋俊一(たかはし・しゅんいち)さんの元に自転車8台が直接届けられた。届けたのは、李登輝学校研修団1期生の好田良弘(こうだ・よしひろ)さん。

好田さんは、李登輝学校研修団の同窓生で友人でもある高橋さんからの自転車要請を本会メールマガジンで知り、宅配便業者などと連絡を取り合って先に自転車5台を送り、3月29日、深夜バスで仙台まで行き、30日午前、予約していた仙台市内の自転車店でさらに3台を購入、それをワゴンタクシーに積み込んで石巻の高橋さんに手渡した。

本会メルマガ上で「同窓生の中には『自転車3台くらいなら、石巻まで何とか持っていけそうだから』と申し出てくれている方もいて、こういうときの仲間というのは本当に頼もしい限りです」(3月23日発行、第1272号)とお伝えしたが、この同窓生が好田さんです。

来日中の阮美姝さんや李登輝学校研修団の同窓生は29日夜、好田さんが深夜バスで出発すると聞き、色紙に高橋さんや好田さんへメッセージを書き、出発直前の好田さんに届けたそうだ。

■同窓生の尾形美明さんも2台追加申し出
また、高橋さんの要請に応えようとした好田さんに協力したのが、これまた李登輝学校研修団4期生で高橋さんの知人でもある尾形美明(おがた・よしあき)さんだ。

尾形さんは高橋さんから好田さんの動きを伝え聞き、それなら2台ほど一緒にお届けいただきたいということで申し出て、当初計画の3台が5台に増え、さらに仙台市内で3台購入して8台になったという次第だ。

この自転車寄贈に天も味方してくれたのか、宅配業者の便は当初、仙台店までしか届かないということだったが、好田さんが出発する前日の3月28日夜、なんと石巻店が営業を再開したので自転車は石巻店に回送するとの連絡が入った。そこで好田さんは仙台市内で自転車を購入できないかを調査、運良く購入できることとなり、ワゴンタクシーに積み込み可能な3台を予約したのだった。

■自転車は保育所や公共機関などに寄贈
30日、高橋さんは届けられた自転車を早速、地元の保育所などに寄贈している。高橋さんからは、写真とともに下記のお便りをいただいた。よほど嬉しかったとみえて、いつもながらのジョークも交えるほどだ。

「自轉車は渡波(わたのは)保育所とはまなす保育所に寄贈しました。どちらも津波の災禍から免れず、建家は半壊か壊滅状態です。はまなす保育所は海沿ひに在り、震災後は海上に浮かぶ『はまなし』状態です。幸ひどちらの保育所も、圓長の判斷がよく、震災で一人の犠牲者も發生してません。しかし圓長以下移動手段を失ひ、毎日、片道徒歩一時間の道程を通ふ職員もゐて、眞つ先に寄贈先を保育所に決めました。かうして有効に使はせて頂きました。 本當にありがたうございます」 (高橋さんは正漢字・歴史的仮名遣ひです)

ちなみに、高橋さんは自転車8台にそれぞれ名前を付け、保育所や公共機関に寄贈するという。第1号「李友会号」(渡波保育所寄贈)、第2号「共栄号」(はまなす保育所寄贈)、第3号「交流号」(鹿妻保育所寄贈)、 第4号「復興号」(女川町寄贈)、第5号「好田号」(公共機関寄贈予定)、第6号「史(ふみ)号」(公共機関寄贈予定)、第7号「海角七号」、第8号「利吉号」と命名し、「海角七號は私用に使はせて頂きます」とのことだ。

第1号の命名の理由は「震災復興支援支持母体だから」ということだそうだが、それぞれに高橋さんなりの理由が付されている。

■移動手段を失った被災地の苦境
それにしても、保育所などで働く方が移動手段を失っているとは、被災地でなければ分からない苦境だ。

台湾の世界的な自転車メーカーの「ジャイアント」が2000万元(約5600万円)分の自転車を日本に寄贈するというニュースを本会メールマガジンで伝えたとき、高橋さんから「ありがたうございます。感謝。臺灣一人旅で『ジャイアント』の世話になり、今回は筆舌に尽くせません」とのお便りをいただいたが、その気持ちがようやく分かったような気がする。

また、この自転車寄贈を機に、尾形さんたちが地元自治体に「被災地への放置自転車を贈る」運動を提案している。この件については、別に紹介したい。

なお、尾形さんからも多額のお見舞い募金をいただいているが、好田さんが高橋さんにお届けした自転車8台などの費用は、お見舞い募金から出させていただくことをご了承のほどお願いします。