帝国書院と東京書籍にも送付!文部科学省、帝国書院、東京書籍に抗議の声を!
中学校教科書の検定は3月に終わり、現在は教育委員会に見本本が配られて採択の段階に入っている。採択は8月までにほぼ終わり、来年4月には供給本として生徒に配布される。検定済中学校社会科地図帳が公開されたので検定結果を確認すると、本会の要望や県会可決の意見書は反映されていないことが判明した。
そこで、本会の小田村四郎会長は7月13日、文部科学大臣が教科書として適切か否かを審査(検定)することになっていることから、高木義明・文部科学大臣に「検定済中学校社会科地図帳の誤記に関する質問と要望」を送達した。また同日、発行者(出版社)の帝国書院と東京書籍にも同様の書面を送達した。
発行者への文面は文部科学大臣宛とほぼ同様なので、ここでは文部科学大臣宛の書面を下記にご紹介したい。
小田村会長は、教科書問題に取り組んできた弁護士と法的手段についても検討を進めており、本会は今後あらゆる手段で抗議し訂正を求めてゆく。今後も皆様のお力添えをいただきながら、台湾正名運動の一環としての地図帳問題の解決に当たりたい。
台湾は台湾であり、中華人民共和国(中国)の領土ではない。これまで一度たりとも中華人民共和国の統治を受けたことはない。台湾政府自身が「台湾は中華人民共和国の一部ではない」と明確に表明している。
台湾からの東日本大震災に対する200億円を超える義捐金や多大な物資が中華人民共和国からのものではないことは、外務省のホームページに掲載の「諸外国等からの物資支援・寄付金一覧」にも明らかで、その一事をもってしても証明できる。ましてや、日本が台湾を中国(中華民国)に返還した歴史事実もない。
本会が指摘した箇所は明らかな誤記である。これを訂正しなければ、台湾は中華人民共和国の領土という誤った理解を生徒に与えることになる。
心ある皆様から文部科学省、帝国書院、東京書籍にご意見や抗議の声を届けていただきますようお願いします。
検定済中学校社会科地図帳の誤記に関する質問と要望
本会は、昨年行われた中学校の教科用図書検定中、七月と十二月の二度にわたり誤記の訂正を求める要望書を文部科学大臣に呈した。また、教科用図書検定調査審議会や出版元の帝国書院と東京書籍にも同様の訂正要望を送達した。
宮城県議会では昨年十二月、石川県議会では本年三月、賛成多数で「国においては、教科書発行者に対し、歴史的事実関係と中国及び台湾の実態に即した適切な記述に是正するために必要な措置を講ずるよう、強く要望する」という意見書を可決し、文部科学大臣にも届けている。
一方、髙木義明・文部科学大臣は四月一日の定例記者会見で、中学校の教科用図書検定について、「学習指導要領あるいは検定基準に基づいて、教科書検定審議会という学術的・専門的な審議を経て厳正に実施されているものでありまして、今回も慎重に審査が行われた」と述べた。その後、中学校の教科用図書検定結果が公開された。
そこで、検定結果を確認すると、本会の要望や県議会可決の意見書は反映されていないことが判明した。これは国民の声を無視した独善的な措置であり、どこをどう押せば「厳正に実施」し「慎重に審査」したと言えるのだろう。
そもそも、教科書検定は、学校教育法や文部科学省設置法で文部科学大臣の権限に属することが明記され、文部科学省初等中等教育局の「教科書制度の概要」でも「民間で著作・編集された図書について、文部科学大臣が教科書として適切か否かを審査し、これに合格したものを教科書として使用することを認めること」と記しているように、教科用図書検定調査審議会は独立の三条機関ではなく、単なる文部科学大臣の諮問機関に過ぎない。従って、検定結果については、あくまでも文部科学大臣が国民に対して責任を負うべきものである。
そこで、検定結果について文部科学大臣に質問したい。
一、台湾の太平洋側とバシー海峡に日本との国境線を引いている表記は従来のままだが(帝国書院・24頁、東京書籍・17頁)、これでは台湾が中華人民共和国の領土という誤解を生徒に生ませることにならないか。台湾と中国の間に破線を引くなどの措置を検討したことはあるのか。
二、東京書籍の「アジア各国の独立」(18頁)の「台湾(1945 中国へ返還)」という表記は従来のままだが、日本が一九四五年に台湾を中国に返還したのは事実か。事実とするなら、その根拠となる条約などを挙げられたい。
三、帝国書院の「アジア州の資料図(2)」における「①中国のようす」をはじめとする九つの中国地図(25・26頁)、東京書籍の「中国の行政区分」(22頁)と「中国の地域性」における八つの中国地図(25・26頁)は、中華人民共和国が発行した資料を基に作成しており、いずれも台湾を自国領と表記していることは従来のままだが、これでは台湾が中華人民共和国の領土との誤解を生徒に生ませることにならないか。また、これは台湾を中華人民共和国の領土と承認していない日本政府の見解に基づかない表記ではないのか。
四、帝国書院の「世界の国別統計」(146頁)と東京書籍の「世界の国の人口、文化、経済、日本との貿易(1)」(111頁)において、中華人民共和国の国土面積を九六〇(万k㎡)とする表記は従来のままだが、この国土面積に台湾の国土面積は含まれているのか。
五、東京書籍の「世界の大都市の人口」(114頁)において、中華人民共和国の都市名として「タイペイ(台北)(台湾)」と表記しているのは従来のままだが、今回新たに「カオシュン(高雄)(台湾)」を加えている。台湾の都市を中華人民共和国の都市とすることは妥当か。
質問項目はいずれも、政府見解にも反し、事実に反する(台湾は未だかつて一度も中華人民共和国に支配されたことはない)明らかな誤記である。これを訂正しなければ、台湾は中華人民共和国の領土という誤った理解を生徒に与えることになる。それ故、文部科学大臣の見解を問いただすべく質問した。
検定済教科書の訂正は、教科用図書検定規則第十四条において「検定を経た図書について、誤記、誤植、脱字若しくは誤った事実の記載又は客観的事情の変更に伴い明白に誤りとなった事実の記載があることを発見したときは、発行者は、文部科学大臣の承認を受け、必要な訂正を行わなければならない」と定めている。
文部科学省は、今度こそ本会からの誤記訂正要望を受け入れ、帝国書院と東京書籍を指導して、来年の供給本では日本の将来を担う中学生に台湾に関する正しい知識を提供して国際理解を促すべきである。
質問への回答は、個別具体的に、書面にて速やかにお願いしたい。
ただし、この質問に答えない場合や、訂正を拒否する回答内容の場合は、今後あらゆる手段で抗議し訂正を求めてゆくことを通告する。
平成二十三年七月十三日
日本李登輝友の会
会長 小田村四郎
文部科学大臣
髙木義明 殿
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