9月30日、国際地理オリンピック日本委員会が製作した地理オリンピックの募集ポスターで、北方領土をロシア領とし、台湾も中国領としていた「地理オリンピックポスター問題」が産経新聞によって発覚、台湾正名運動を展開している本会にとっては捨て置けない問題だと本会HPなどでお伝えした。
本会の小田村四郎会長も産経新聞の記事を読み、これは訂正させなければと、早速、なぜ台湾が中国の領土の一部でないのか、理非曲直を明らかにして、外登証問題や住民票問題で結果を出してきた本会のこれまでの活動も記し、下記の「抗議と訂正要求」を国際地理オリンピック日本委員会の井田仁康・実行委員会委員長に送付した。
台湾を中国領とする地理五輪ポスターへの抗議と訂正要求
本日(9月30日)付の産経新聞は、「国際地理オリンピック」の募集ポスターが北方領土を「ロシア領」と表記した地球儀の写真を使っていると指摘し、また「日本政府が中国領土と承認していない台湾についても中国領土に色分けされていた」とも指摘している。
台湾は中国の領土の一部ではなく、台湾人の国籍を中国とすることは事実に反し、台湾人を侮辱するものとして、本会は設立当初より外国人登録証明書問題に取り組んできた。その結果、平成21年7月の法改正による外国人登録証明書の在留カード化措置において、台湾出身者の「国籍・地域」表記は「中国」から「台湾」に改められることになっている。
また同時に、台湾からの転入・台湾への転出の際、住民基本台帳では「中国(台湾)」「中華人民共和国」などと表記されていた問題にも取り組み、その結果、平成二十年五月、東京都は住民基本台帳の表記について昭和62年の通知が現状に即さず、正確ではないとの判断から「台湾」の表記を認めるという通知を出したが、これも本会取り組みの結果である。従って、本会は記事が伝えるような台湾を中国領とする地理オリンピックポスターの誤記を見過ごすことはできない。
台湾が未だかつて中華人民共和国に支配されたことは一度もなく、日本とは国交こそないものの、主権独立を保つ国家である。
台湾が中国の領土の一部でないことは、記事で述べているように日本政府も認めるところで、即ち昭和47年に中国政府との間で発表した「日中共同声明」において、中国政府は「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する」と主張したが、政府は「この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重」するとし、中国の主張を承認していない。このことは我が外務省も公言するところである。さらにアメリカやイギリスも、台湾を自国領とする中国の主張をアクノレッジ(認識)するという立場で、決して承認していない。
因みに、我が国はサンフランシスコ平和条約において台湾に対する領土的処分権を喪失しているため、「台湾の領土的な位置付けに関して独自の認定を行う立場にない」というのが日本政府の公式見解である。
一方、台湾を「台湾島」と表記し、音声案内で「中華人民共和国」としていた地球儀問題が平成20年1月に発覚したとき、台湾政府の駐日台湾大使館に相当する台北駐日経済文化代表処が地球儀メーカーに「台湾は中華人民共和国とは別の主権国家であり、まさに御社の行為は台湾に対する主権侵害の加担にほかなりません」と販売停止を要求したことは未だ記憶に新しいが、その結果、メーカーは販売中止や回収措置を行い、中には解散に追い込まれたメーカーもある。
そもそも、台湾を中国の一部とするのは、台湾併呑を正当化しようとする中国の宣伝に他ならない。のみならず、台湾は世界最大の親日国であり、周知のように今次大震災に対しては世界最大の支援をしていただいた国である。その台湾を中国領と表記することは、そのような台湾国民の尊厳を傷つけるものであり、日台関係を毀損させ、日本国家の威信をも傷つける暴挙でさえある。
従って、地理オリンピックポスターで台湾を中国領とすることは誤記以外の何ものでもなく、本会は、この募集ポスターを製作した国際地理オリンピック日本委員会実行委員会に断固抗議し、台湾と中国を色分けして作り直すよう要求する。この抗議と要求を受け入れない場合は、今後あらゆる手段で抗議し訂正を求めてゆくことを通告する。
平成23年9月30日
日本李登輝友の会
国際地理オリンピック日本委員会
実行委員会委員長 井田 仁康 殿