本会の小田村四郎会長は、戸籍問題の第1期署名活動が10月31日に終了したことを受け、11月10日、平岡秀夫法務大臣に要望書「台湾出身者の戸籍に関し民事局長通達の出し直しを要望する」とともに、集まった15,604名分の署名用紙を添えて送達した。
要望書は11月10日付で記され、昨年11月3日付で柳田法務大臣宛の要望書や今年9月のシンポジウムの決議文とほぼ同じ内容で、元凶である民事局長通達の出し直しを求めている。
法務省民事局の担当者によれば、大臣宛に出したものは大臣に報告された後で担当の民事局に下り、内容は民事局長にも伝えるという。
なお、10月31日を締切とした第1期署名だったが、それ以降も次々と寄せられ、ほぼ収束したのは11月9日だった。そこで10日付での要望書となった次第だ。
ところで、インターネットの署名について一言。
インターネットの署名は、町名まで書いていただいているにもかかわらず、お名前だけとか「日本人」「台湾大好き」などペンネームで署名された方も多く、一方、お名前はきちんと書いていただいているのに、住所が国名や県名だけだったりというケースも少なくなかった。せっかく署名していただいたのに、法務大臣への提出では残念ながら180名ほど削除せざるを得ず、結局、11月10日現在で1,946名だった。
ちなみに、インターネット署名は、本会が利用している「署名TV」運営会社の説明にも「署名時に入力頂いた個人情報のうち、メールアドレスと郵便番号、住所の番地以下については、署名プロジェクト企画者に渡しません」とあるように、プライバシー保護が徹底している。
それに、本会はまだ「署名TV」の認定団体として登録されていない団体だから「署名時に入力頂いた郵便番号、住所の番地以下についても提供」されていない。ですから、せっかくの署名を無駄にしたくないので、これからインターネットで署名していただく方は、安心してご署名いただきたい。
「台湾出身者の戸籍に関し民事局長通達の出し直しを要望する」
私ども日本李登輝友の会は、文化交流を主とした日本と台湾の新しい関係を構築することを目的として活動している民間団体です。
法務省はこれまで、台湾出身者が日本人と結婚したり帰化した場合、戸籍の国籍や出生地を「中国」や「中国台湾省」としてきました。中国とは中華人民共和国のことであり、中国台湾省とは中華人民共和国の行政区を指します。即ち、台湾出身者を中国人としているのが現在の戸籍制度です。
戸籍において、台湾出身者の国籍を「中国」としたのは、昭和三十九年六月十九日付で出された法務省民事局長による「中華民国の国籍の表示を『中国』と記載することについて」という通達だったことは、政府においても、大江康弘・参議院議員の「質問主意書」に対する「答弁書」で明確に認めています。
昭和三十九年(一九六四年)といえば今から四十七年も前、東京オリンピックが開催された年で、日本が中華民国と国交を結んでいた時代です。しかしその後、日本は中華民国と断交して中国(中華人民共和国)と国交を結ぶなど、日本と台湾・中国の関係は大きく変わっています。
そこで、住民基本台帳の表記について東京都は平成二十年五月、昭和六十二年の通知が現状に即さず、正確ではないとの判断から、台湾からの転入・台湾への転出の際には「台湾」の表記を認めるという通知を出しています。また、一昨年七月には外国人登録証明書の在留カード化措置において、台湾出身者の「国籍・地域」表記を「中国」から「台湾」に改める法改正も行っています。さらに、日本政府は観光客に対するノービザや運転免許証について台湾とは相互承認を行い、中国とは行っていないなど、明確に台湾と中国とを区別している上、台湾では天皇誕生日祝賀会が開催し叙勲を復活するなど、中国とは状況が異なる事例には事欠きません。
ましてや台湾は、中国の領土ではありません。これまで一度たりとも中華人民共和国の統治を受けたことはなく、台湾を中国領土とするのは、台湾侵略を正当化するための中国の政治宣伝以外のなにものでもありません。事実、この戸籍表記は日本政府の見解にも合致していません。
このように、五十年前とは様変わりしている事情や現実を踏まえ、戸籍における台湾出身者の国籍表記を早急に改めるべき状況にもかかわらず、これを放置しておくことは中国の政治宣伝を受け入れたことにもなりかねません。
ついては、法務大臣は戸籍の国籍欄および出生地欄を在留カードにならって「国籍・地域」とし、台湾出身者は「中国」ではなく「台湾」と表記すべく、早急に民事局長通達を出し直すよう要求するとともに、ここに私どもの要求に賛同する署名第一期として一万五千六百四名の署名用紙を併せて呈します。
すでに昨年十一月には柳田稔法務大臣に同様の要望書を示し、また今年九月には「日台シンポ『台湾出身者の戸籍を中国から台湾に改正しよう!!』参加者一同」による同様の決議文を送達しています。法務大臣におかれては、早急に民事局長通達を出し直すよう措置されたくお願いします。
平成二十三年十一月十日
日本李登輝友の会会長 小田村 四郎
法務大臣 平岡 秀夫 殿