20150809李登輝総統のインタビュー原稿が、8月10日発売の月刊「Voice」9月号に、「日台新連携の幕開け」と題して掲載されている。ご来日を控えた忙しい時期に受けた取材だったようだが、それだけに日台の絆を重視する李総統ならではの視点や提案を盛り込んだ文章となっている。

今年は終戦70年の節目の年であることから、陸軍に志願して高射砲部隊に配属されたことから筆を起こす。海軍に志願して戦死した実兄の李登欽にも触れ、「当時われわれ兄弟は、紛れもなく『日本人』として、祖国のために戦ったのである」と述べる。

これは、現総統の馬英九が企てた「抗日戦争勝利70年」の記念イベントを批判する文脈につながり、「日本と台湾は『同じ国』だったのである。『同じ国』だったのだから、台湾が日本と戦った(抗日)という事実もない」と明快だ。

馬英九がつくろうとしている慰安婦記念館についても「すでに台湾の慰安婦の問題は決着済みで、いまさら蒸し返すことは何もない」とバッサリ切り捨て、馬英九政権が支持する「92年コンセンサス」についても、それを持ちだした「当の蘇起氏が『でっち上げ』だとのちに認めている」という事実を明らかにして「じつはまったくの虚偽」と断言。

馬英九政権が進めようとしたり拠り所としている事柄を、気持ちがいいほどバッサバッサと切り捨て、根底からくつがえしているのだ。それも、空論ではなくきちんと根拠を示してのことだから、説得力に富む。

では、タイトルともなっている「日台新連携の幕開け」とはどういうことかというと、日台連携の鍵となるのが、次世代の技術覇権を担う革新的サービスが「IoT(Internet of Things)」で、日台の経済成長の原動力となるイノベーションとして、このIoT導入にとりくむことを提唱し、「台湾はIoTの生産でアベノミクスを強力にバックアップする」と述べられている。

ちなみに、月刊「Voice」9月号は「安倍政権を潰すな」という「夏の大特集」で、そのトップに李総統の論考を掲載している。

月刊「Voice」9月号(8月10日発売、700円)