9月19日未明に参議院本会議で可決して成立した安保関連法案 に対し、台湾は外交部が「日本の国際的な安全保障に対する参加を促進し、 同時に日米同盟を強化、深化させるもの」と支持し、台北駐日経済文化代表処の代表(大使に相当)をつとめた羅福全・ 許世楷両氏も歓迎の意を表している。
また、アメリカ、オーストラリア、欧州連合(EU) もまた即座に支持を表明、「日本は戦後の平和主義を破棄した」と批判した中国と好対照をなしている。
よく知られているように、この法案は昨年7月1日、 集団的自衛権の行使を認める閣議決定を経て、 この権利を行使するための安保関連法案が本年5月14日に閣議決 定法案として取りまとめられた。
昨年9月19日に来日された李登輝総統は、 翌20日の大阪におけるご講演で集団的自衛権行使容認の閣議決定について言及し、「私、李登輝も大歓迎であります」 として、その理由を次のように述べていた。
<これは、まさに戦後長らく続いた、日本の不正常な状態を正し、 再生していくための第一歩であり、決断した安倍首相には心から敬意を表したいと思います。>
この安保関連法案は、 まず衆議院で審議されて7月16日の本会議で可決。 次に参議院で審議され9月19日の本会議で可決した。
この間、国会ばかりでなく民間でも大きな動きがあった。 首相官邸前では連日、タレントや大学生、労組やプロ活動家らが「戦争法案、反対」 のデモを繰り返していた。
一方、8月13日には、ジャーナリストの櫻井よしこ氏や、 本会副会長でもある田久保忠衛・杏林大名誉教授、中西輝政・京大名誉教授らが呼び掛け人となって「 平和安全法制の早期成立を求める国民フォーラム」を設立し、「日米安全保障条約を緊密にし、 抑止力を高めることが大事である」からこそ「 一刻も早く平和安全法制を確立することを強く要望する」と、 国会審議を促す声明を発表していた。
中国は今でも台湾を敵とし、1,000発を超えるミサイルを台湾に向けている。南シナ海を聖域化したい中国が台湾に武力侵攻する可能性は低くない。 これが台湾有事だ。
日本は自国の安全のためにも台湾有事に対処しなければならず、 安保関連法案を成立させることが必至だったが、 その成立は台湾の国益にも合致していることが明らかになった。 李登輝総統も成立を喜ばれているだろう。