訪日中の蔡英文・民進党主席が安倍首相と極秘裏に会談したとの報道がなされている。
これは、安倍首相がキャピトル東急ホテルで会食に出席した際、ちょうど蔡英文主席も同じホテル内で日本交流協会の大橋光夫会長主催の昼食会に出席しており、両者はこの機会を利用して会談したというもの。
日本政府も民進党側も会談を否定しているものの、台湾メディアは日本の報道を引用するかたちで「蔡英文氏が”李登輝方式”で安倍首相と会談」と報道。今年7月に李登輝総統が安倍首相と極秘会談したとされる方式を踏襲したと報じた。
安倍晋三首相と台湾の最大野党、民主進歩党(民進党)の蔡英文主席が8日昼、都内の同じホテルに居合わせた。日本政府と蔡氏側の双方とも会談を否定しているが、非公式に接触したとみられる。来年1月に行われる総統選挙に出馬予定の蔡氏は世論調査で優位に立っており、次期総統の最有力候補とされている。
両氏は台湾の政権交代を見越し、日台間の協力関係を確認した可能性がある。
首相は正午過ぎから1時間20分余りホテルに滞在。実弟の岸信夫元外務副大臣や山口県の村岡嗣政知事、畑原基成県議会議長との会食だったとしている。民進党側は、蔡氏も同じ時間帯にこのホテルにいたが、日本の対台湾窓口機関「交流協会」の大橋光夫会長との昼食だったと説明した。
蔡氏は7日、首相の地元である山口県を訪問。岸氏が同行し、村岡氏も県庁で蔡氏と会談していた。蔡氏には、対日重視の姿勢をアピールする狙いがあったとみられる。
菅義偉官房長官は8日の記者会見で首相と蔡氏との接触について「そうした予定はなかった」と強調。蔡氏も記者団に「(安倍首相と会ったというのは)雲をつかむような話だ」と否定している。ともに否定するのは、中国が蔡氏の来日に強く反対しており、接触が公になれば、中国の反発を招くためだとみられる。
日台関係筋は「総統になれば蔡氏は来日できなくなる。就任前に首相と会談したのではないか」と指摘すしている。
首相は7月、台湾の李登輝元総統が来日した際も秘密裏に会談。このときも日本政府と李氏側が会談を公に認めることはなかった。
蔡氏は台湾の政治大教授などを務め、1990年代後半には当時総統だった李氏の顧問として対中政策の立案に関わった。